吸血鬼(1967)

劇場公開日:

解説

いわゆるバンパイヤものを恐さだけではなく笑いで味付けしたもので監督は「ローズマリーの赤ちゃん」のロマン・ポランスキー。脚本は彼と「反撥」のジェラール・ブラックとの共同オリジナル。撮影は「召使」のダグラス・スローカムでイタリア北部のドロミテ・アルプスでロケされた。音楽は「水の中のナイフ」「花弁が濡れるとき」のポーランドの作曲家クリストファー・コメダ、美術監督はウィルフレッド・シングルトンとフレッド・カーター、編集はアリステア・マッキンタイア、衣装はソフィー・デンバインの担当である。出演は「トム・ジョーンズの華麗な冒険」のジャック・マッゴーラン、「哀愁の花びら」のシャロン・テイト、「アルフィ」のアルフィー・バス、「女の香り」のファーディー・メイン、ボクシング・ミドルウェイト級の世界チャンピオンだったテリー・ダウンズ、それにポランスキー自身が教授の助手役で出演している。製作は「反撥」ポランスキーと組んだ新進のジーン・グトウスキー。ビデオタイトル「ロマン・ポランスキーの吸血鬼」。

1967年製作/108分/アメリカ
原題:The Fearless Vampire Killers
配給:MGM
劇場公開日:1969年9月14日

ストーリー

アブロンシウス教授(ジャック・マッゴーラン)は助手のアルフレッド(ロマン・ポランスキー)を連れてバンパイヤ(吸血鬼)退治の旅を続けていた。彼らの武器は十字架のついた小さな杭と、木づちだけ。バンパイヤを見つけ出して杭を心臓に打ち込み、人々を恐怖から救い出すのが目的だ。そして、トランシルバニア(ルーマニア西部)の片田舎の宿にたどり着いた。どうやらこの辺がくさい。にんにくが天井から下り、いかにもバンパイヤを恐れている感じ。陽気な宿屋の主人シャガル(アルフィー・バス)も教授の質問には妙におろおろ。その夜、教授がシャガルの後をつけると女中マグダの部屋に入っていく。それをみつけて女房レベッカは大騒ぎ。翌朝、クーコルが宿に買物にやって来た。彼も、なにやら、怪しい人物。助手のアルフレッドが後をつけると案の定クーコルは森の中で生きた狼をがぶり。真赤な血を口のまわりにいっぱいつけて現れた。彼はバンパイヤの一味に違いない。宿に戻ったアルフレッドは、ここの娘で無類に風呂好きの美しい娘サラ(シャロン・テイト)と出会う。その美しさに一目惚れ。そしてある夜、風呂に入っている彼女を、カギ穴からのぞいていると、突如天井から現れた赤マントの怪しい老紳士。またたくまに彼女をさらい消えていく。あとには血に染まった風呂桶があるばかり。おお彼こそはバンパイヤ!そしてサラはもちろんのこと、シャガルもバンパイヤの毒牙にかかってしまった。そして女中のマグダも。教授と助手は2人を追ってバンパイヤの城へ。そこには城主のクロロック伯爵(ファーディ・メイン)や息子ハーバート(イアン・カリエ)らがいる。そのうえ息子はホモ男。アルフレッドに襲いかかる。バンパイヤを殺し、サラを助けださねばならないのに……。そしてある夜、墓からたくさんのバンパイヤたちが現れ、世にも恐ろしい、だが、このうえもなく耽美な舞踏会が開かれた。教授と助手もまぎれ込み、優雅に踊ったまではよかったが見破られてしまった。大騒ぎの末、どうにかサラを救い出し、城を脱出した。バンパイヤ殺しは出来なかったが愛するサラを救い出せたのでアルフレッドは満足だ。帰りのソリの中。アルフレッドがサラにキスしようとしたら、逆に彼女の方からガブリ。みると彼女の形相はバンパイヤのもの。そしてアルフレッドの、のどもとにはキスマークとは程遠いバンパイヤ・マークがついてしまった。吸血鬼殺しが吸血鬼になってしまった……。

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映画レビュー

4.0「ワンハリ」を機にお薦めしたいポランスキー&テイトの吸血鬼映画

2019年8月27日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で俄然注目を浴びているロマン・ポランスキー監督と女優のシャロン・テート。結婚直後で幸せの真っ直中にいた2人の人生は、1969年8月9日、テートが狂信的カルト集団によって惨殺されたことで終わりを告げるが、彼らにとって最初で最後の共演作がポランスキーが監督(&主演)し、テートが出演した「吸血鬼」だ。この映画、日本では特に衝撃的に受け止められた。何しろ、日本公開日(1967年9月14日)はテートが殺された35日後だったのだ。劇中での彼女は、吸血鬼に狙われる"お風呂好き"の美女に扮して、半裸シーンで魅せまくり。演技力はゼロだが、確かに、気鋭の監督を魅了したであろう美貌の極致である。でも、映画はポランスキーによる吸血鬼映画のパロディが全編で炸裂して、笑いと恐怖が交互に訪れる秀逸な仕上がり。特に、吸血鬼ハンターとポランスキー演じる助手が見せるスラプスティックな動きと、吸血鬼伯爵のとんでもなくおぞましいルックス&リアルな吸血シーンの対比が堪らない。これを見ると、古典的な吸血鬼映画も、後発のパロディ映画も、バカらしく感じてしまうほどだ。意図的に長すぎる間合いも含めて、「ワンハリ」を機に是非お薦めしたいヴァンパイア映画の珍品である。

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清藤秀人

1.0ポランスキーにとってはシャロン・テートが吸血鬼だったかも…

2021年6月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

もう何十年も昔だが、若い頃には
気軽に楽しく観たような気がするが、
今回再鑑賞して随分とイメージが違った。

基本的にコメディなのだろうが、
優れているとは言い難いボケと小ネタコント
が断続的に続くイメージで、
不必要な場面やストーリー上のもたつき
も多く感じられ、
ポランスキーらしくない印象だ。

この製作時点においては、
多分にポランスキーはシャロン・テートの
ことで頭が一杯で、
彼は彼女に骨抜きならぬ“血抜き”にされて
いたのではなかったのかと
勝手に想像した。
もし、私がポランスキーの立場だったら、
そうなったに違いないと思うので。

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KENZO一級建築士事務所

2.0いわくつき作品

2019年8月17日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 タイトル通り、まったく怖くない完全なコメディ映画だった。宿屋の娘サラがなかなか綺麗だったのでびっくりですが、彼女がロマン・ポランスキー夫人となりマンソンに殺された被害者だということを後で知った。

 吸血鬼であるクロロッツ伯爵の息子がゲイだったこともよかったし、最後には村人全員が吸血鬼だったということもいい。しかし前半の脚本が面白くなく、かなり眠くなること必至でしょう。

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kossy
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