ガルシアの首

劇場公開日:

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解説

首に100万ドルという巨額の金がかけられた男を追う一匹狼とシンジケートの戦いを描く。製作総指揮はヘルムート・ダンティーン、製作はマーティン・バウム、監督は「ビリー・ザ・キッド 21才の生涯」のサム・ペキンパー、脚本はゴードン・ドーソンとペキンパー、撮影はアレックス・フィリップス・ジュニア、編集はガース・クレーヴンが各々担当。出演はウォーレン・オーツ、イセラ・ベガ、ギグ・ヤング、ロバート・ウェバー、ヘルムート・ダンティーン、エミリオ・フェルナンデス、クリス・クリストファーソンなど。日本語版監修は高瀬鎮夫。デラックスカラー、ビスタサイズ。1974年作品。

1974年製作/アメリカ
原題:Bring Me the Head of Alfredo Garcia
配給:ユナイト映画
劇場公開日:1975年7月12日

ストーリー

メキシコの広大な牧場を支配し、この地方の絶大な権力者であるエル・イェフェ( エミリオ・フェルナンデス)は、愛娘のテレサを妊娠させたのがアルフレッド・ガルシアと知って怒り狂った。彼はガルシアの首に100万ドルの賞金をかけ、片腕のマックス(ヘ ルムート・ダンティン)をメキシコ・シティに飛ばせた。マックスは名うての殺し屋であるクイル(ギグ・ヤング)やサペンスリー(ロバート・ウェバー)を集めてバーやクラブの聞き込みを開始した。バーのしがないピアノ弾きベニー(ウォーレン・オーツ)は独特の嗅覚で、クイルとサペンスリーの背後に金の匂いをかぎつけていた。そして情婦のエリータ(イセラ・ベガ)からガルシアに関する情報を得た。エリータによれば、ガルシアは彼女と関係を持ち、再会を約しながら自動車事故で死亡したというのだ。その死体は故郷の生家の墓場に埋葬されているという。ベニーは人生にもう一華咲かせるためにガルシアの首に賭けることにした。ベニーはマックスを訪ね、1万ドルでガルシアの首を渡すことを約束し、いやがるエリータを口説いてガルシアの故郷に向かった。それは新婚旅行もどきの道中で、ベニーは待ちうけるだろうバラ色の生活を饒舌に語った。途中、野宿をしようとする二人にパコ(クリス・クリストファーソン)というヒッピー風の若い男二人組に襲われたがベニーは無造作に射殺した。しかし、その後を組織に雇われた男たちがつけていることに彼は気づかなかった。夕方、目的地の村に到着した二人は、深夜に墓堀を開始した。エリータはいやがったがベニーは掘り続けた。そのとき、背後から何者かに後頭部を殴られたベニーは気絶し、気づいたときは彼の横にエリータとガルシアの死体があった。しかし、ガルシアの死体には首がなかった。愛するエリータを喪った悲しみと何者かに対する憤怒にかられベニーはすぐ二人組のあとを追った。追いついたとき、ベニーの軍用コルトが火を吹いた。倒れている二人にベニーはありったけの弾を撃ち込んだ。ガルシアの首を奪ったベニーは既に金銭を超越したおさえがたい怒りにかられていた。途中、ガルシアの両親や親せきが首を取り戻しにやってきたが、クイルとサペンスリーがかけつけ、彼らを虐殺した。ベニーはその二人をも射殺すると、ニューメキシコのホテルに拠を構えるマックスを訪れ、命令を下したエル・イェフェの名を聞きだすとそこにいた全員を射殺してエル・イェフェの牧場に向かった。カバンの中にはドライアイスがつめられ、その中にはガルシアの首が納められてあった。ベニーが到着したとき、テレサはガルシアの子を産みおとし、その孫を抱くエル・イェフェは上機嫌だった。ベニーはテレサの撃ち殺してという叫びと共に拳銃の引き金をひいた。100万ドル入りのカバンを掴むとベニーは車に乗り込み、門を突破しようとしたが、数十人の部下が一斉に発砲した。(ユナイト映画配給1時間52分)

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映画レビュー

4.5ウォーレン・オーツ様‼️

2024年2月25日
スマートフォンから投稿

泣ける

怖い

興奮

メキシコの権力者が、愛娘を孕ませたガルシアの首に100万ドルの賞金をかける。安酒場のピアノ弾きのベニーは、ガルシアが既に死んでいることを恋人から聞き、二人で墓場から掘り起こそうとするが・・・。汚くて、屈託が深くって、凶暴なウォーレン・オーツの魅力が爆発‼️吹き溜まりのような酒場のピアノ弾きが金の匂いを嗅ぎつけ、生首を求め墓場をさまよう冥府魔道が鮮烈すぎる‼️ペキンパー監督お得意のバイオレンス描写も凄まじいの一言‼️そしてベニーと恋人という若くない二人が木にもたれて夢を語る短いシーンがホント胸に迫ります‼️大好きなペキンパー作品‼️

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活動写真愛好家

4.0Veryペキンパー

2023年11月20日
PCから投稿

作品群の中では地味な印象ですが、最高傑作に押す人も多いそうです。

確かに、暴力描写の「溜め」やメキシコの薄汚れた雰囲気など、あまりにもペキンパー的です。

暴力シーン以前に、とにかく薄汚れて汚らしいので、これほど女性向でない作品も珍しいです。

お得意のスロー暴力シーンもふんだんですが、殆どのスローシーンがキャメラ引き気味でダイナミック不足です。ゲッタウェイやワイルどバンチのようにもう少しアップ気味でスピーディにキャメラを振った方が迫力が出ます。

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越後屋

2.0リアリティある設定が無くては…

2021年5月27日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

正直を言って面白くは無かった。
リアリティ感の不足、意味不明描写も多く、
監督の独りよがりの作品に感じた。

全てが中途半端。

主人公が将来の希望としたはずの恋人の
映画中盤での殺害による早過ぎる退場も、

メキシコのボスや依頼組織の幹部に合わせる
際に、主人公に銃を持たせたままという
リアリティの無さ、

大勢に銃撃されているのに何故か
主人公には銃弾が当たらないシーン、

せっかく巨大な悪の組織を重層的に描いて
いるのに、そのボス等が主人公に簡単に
撃たれてしまう等、組織の強大さの
描写に一貫性を感じない。

従って、主人公の活劇が、
ストーリー展開のための
安易な手法としか受け取れない。

「ワイルドバンチ」のような悲壮感漂う
バイオレンス描写も後退してしまった感だ。

主人公の恋人を奪われたことへの怒りと
彼女の元彼へのこだわりを中心に描いた
ものとしても、一定のリアリティは必要だ。
それを描ききれるのであれば、
悪の組織への対応において、途中の段階での
主人公の挫折でもかまわないはずだ。

どうしてもボスの娘の「彼を殺して!」の
場面が欲しいのなら、もう少し
リアリティのある設定を考えて欲しかった。

この作品は、主人公の思索の軌跡を描こうと
したものの、観客の受け狙いのための
必要以上のリアリティを欠いた
アクション場面の設定が、本筋を軽んじて
しまった作品としか私には思えなかった。

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KENZO一級建築士事務所

4.5切ない大人の恋愛物語とその復讐劇 そこからブレない どんどん心に染み込んでくる 気がつけば忘れられない映画になっていると思います

2021年2月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

疑いも無くサム・ペキンパー監督の最高傑作

男は50手前、女は30半ば
どうにかしなければならない
もう時間切れは迫っている
それは感じている
一皮剥けば焦燥感で一杯
でも、何をどうしたら抜け出せるのか
何をしたらいいのか、サッパリ分からない

だから、今日も明日も昨日の延長
一応、楽しく仕事してご飯食べれて、異性のパートナーもいるようないないような

そうして今日までズルズルと生きてきてこんな歳になっちゃった
手近ならところで手を打てば良いじゃない?
そんなこと分かってる
そうしようかと思ったこともある
でもなんとなくもっと良いひとが現れるような気もして踏み切れない

別にこのままでもいいじゃないか、慌てなくても
そんなこと思ってたら、いつの間にかこんな歳になってしまった

そんな男と女の物語
こんな男女は多いだろう

ベニーはメキシコのとある場末の飲み屋のピアノ弾きのアメリカ人
もうメキシコに来て長いのにまだスペイン語が満足に話せない
それは覚える気がないからだ
こんなとこ早いとこ抜け出すつもりだった
それがズルズルと気がつけばもう10年くらい経ってたかも知れない

そんなところにぶら下がった、ここから抜け出すきっかけ
それがなんとあいつ、エリータの元彼の首だ

あいつといっても、俺の女かというと、そんなようなそうでないような
だから俺とガルシアは似た者同士だ
あいつの方が10程若いが、俺みたいになるに違いない
俺だってガルシアみたいにやらかして逃げて来て、流れ流されこんなところに居着いてしまっただけ
ガルシアもそうなる
だからそんな奴は死んだって誰も悲しみはしない
気にもしない
俺の為に殺されてくれ

エリータはベニーの女
ガルシアは昔から知ってたろくでなし
今彼のベニーもろくでなし、どっちだっておなじ
だから急に頼って来たからガルシアとはちょっと寝ただけ
あいつが本気な訳がない
まだベニーの方が長いからなんとかなるかも知れないけど、あてになんかできない
だからといって、いまさら切ることもないし
今までどおりダラダラと付き合うだけ

そんな二人
一花咲かそうなんて思ってもいない
ここから抜け出したいだけ
似た者通しのどん詰まりの二人で、別の土地でやり直したいだけ

二人で街を車で出たら楽しいじゃないか
遅かったけど、俺も私も幸せになれるかも知れない

それがどうだ
バイクの二人組からケチがついた
墓についてみれば、ババア始めガルシアの親族一同悲しそうに葬式してやがる
あいつは俺と同じで悲しむ奴なんていないはずじゃなかったのか?
エリータまで殺されてしまった

このまま生きていたって仕方ない
エリータの復讐をしてやる
俺をこんな人生にした奴らに復讐してやる

もともとこんなこと始めた奴をぶっ殺してやる
考えてみれば、俺がこんなていたらくな人生に落ちぶれたのはそいつらのせいじゃないか
責任とらしてやる

ガルシアは俺と同じだ
助手席に載せたら友達みたいについ話かけてしまう
お前の敵も取ってやる

だからエリータと来る途中に泊まった同じ宿で、エリータがへたり込んで泣いていた、シャワールームの床に首を置いてやる
彼女と同じようにシャワーを浴びて泣けよ

切ない大人の恋愛物語とその復讐劇
そこからブレない
どんどん心に染み込んでくる
気がつけば忘れられない映画になっていると思います

旅の途中でのピクニックのような休憩
ウォーレン・オーツとイセラ・ヴェガ の二人の笑顔は最高の表情でした
このシーンが甘く素晴らしいからこそ、終盤の殺戮と釣り合うのです

傑作です
日本だけでヒットしたのはなんか誇らしいです
日本の観客の観る力が素晴らしかったということだと思います

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