映画というささやかな商売の栄華と衰退

劇場公開日:

解説

ジェームズ・ハドリー・チェイスのハードボイルド小説『ソフト・センター』をジャン・リュック・ゴダールがテレビドラマ化。といってもゴダールのこと、原作に囚われず、映画製作の現状を鑑みたリアルで自由な翻案となっている。本作はビデオ撮りの作品を、日本の配給会社がキネコに起こして、劇場公開用にしたものである。やはりテレビ作品の「ゴダールの映画史 第一章 すべての歴史 第二章 単独の歴史」と併映された。「男性・女性」「中国女」「ゴダールの探偵」のジャン・ピエール・レオーが失業中の映画監督を演じるほか、「壁にぶつけた頭」「カルメンという名の女」で鮮やかな印象を残し、自身もベテラン監督であるジャン・ピエール・モッキーがプロデューサー役で出演。またゴダール自身が「カルメンという名の女」「右側に気をつけろ」などと同様に監督役で出演している。撮影は「右側に気をつけろ」「ゴダールの決別」のカロリーヌ・シャンペティエ。録音は「パッション(1982)」以降のゴダール作品のほとんどを手がけている名手フランソワ・ミュジー。本作はジャック・ラング文化相にに捧げられている。

1986年製作/フランス・スイス合作
原題:Grandeur et Decadence d'un Petit Commerce de Cinema
配給:ACT
劇場公開日:1994年2月27日

ストーリー

映画を撮れなくなって久しい映画監督ガスパール・バザン(ジャン・ピエール・レオー)は、金に困ってテレビのエキストラの面接を受ける。白々とした製作プロダクションでは延々とオーディションが続けられている。文節化された言葉を順繰りに辛抱強く発音し続けるエキストラ候補の老若男女。彼らにはその日の報酬が支払われるが、わずかな金額にも、製作デスクは彼らから源泉徴収を差し引くことを忘れていない。いっぽうプロデューサーのジャン・アルメレダ(ジャン・ピエール・モッキー)はガスパールと旧知の仲だが大きな負債を抱えて殺し屋に狙われている。アルメレダの妻ユリディーヌ(マリア・ヴァレラ)は女優になる夢をかねてから抱いており、そのことを深夜のカフェでガスパールに相談する。気のなさそうな彼女の様子をうかがっていたガスパールはそれでも鬼才監督らしくふるまうことで自分を持ち堪えようとする。やがてアルメレダは駐車場で暗殺される。

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