祇園の姉妹

劇場公開日:

解説

昭和十一年、溝口健二監督、山田五十鈴、梅村蓉子主演で映画化され、同年キネマ旬報邦画ベスト・テン第一位を得た祇園芸者の生活図絵の再映画化である。前作同様溝口健二と依田義賢の協同原作、依田義賢の脚本を、「母ふたり」の野村浩将が監督した。撮影は「彼女の特ダネ」以来、大映の技術監督をやっていた相坂操一。主な出演者は「鬼の居ぬ間」の木暮実千代、長谷川季子改め小野道子、「残菊物語(1956)」の中村玉緒「人情馬鹿」の進藤英太郎、「柳生連也斎 秘伝月影抄」の勝新太郎など。

1956年製作/90分/日本
配給:大映
劇場公開日:1956年5月18日

ストーリー

京都の春。祇園の芸妓や舞妓たちが総出演する都踊りが今年も、歌舞練場で催されていた。なじみの客から「三つ揃え」と呼ばれる美津次、美津ひろ、美津丸の三人は姉妹芸者で通っていたが、実は舞妓の美津丸は美津次の子だった。美津次と美津ひろは二人で一軒の家を持ち、自前芸者として働いていた。その夜、美津次の前の旦那で坊んち育ちの古沢が無一文になって居候に転がり込んできたことから、美津次と美津ひろは争いを生じた。若い世代の女性として芸者という存在に疑問を持つ美津ひろは、美津丸の父古沢への美津次の愛情を旧いときめつけ、早く新しい旦那をつくれと迫るのだった。美津ひろは呉服屋の若い番頭木村が自分に寄せる好意を利用して姉の衣裳を作らせ、さらに古沢の分家岡西が姉に気があるのを察して古沢への手切金を出させ、姉の留守に古沢を追い出した。木村が美津次への衣裳を内密に作ったことがばれて、主人の工藤は美津ひろに文句を言いに来たが彼女にまるめ込まれ、却って旦那になろうと申し出た。ある夜、南禅寺の料亭で二人の祝言の席が設けられた。だが突然現われた木村の姿に、妻文子に知られるのを恐れた工藤はあわてて帰ってしまった。古沢追い出しの真相を知った美津次は、料亭から戻った美津ひろに怒りをぶちまけ、美津丸を連れて古沢の許に移った。木村は美津ひろを誘い出し愛情を打ち明けたが沈黙する彼女を怒って崖から突き落した。一方、美津次は東京に職の見つかった古沢に去られ茫然としたが脚を骨折した美津ひろを病院に見舞い、二人の間には血肉の情がよみがえった。謝罪する木村に美津ひろは結婚を誓い、美津次と美津丸は涙をかくして客の前で踊っていた。

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映画レビュー

3.0私も、間違えた!

2023年7月26日
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恥ずかしながら、
溝口健二監督作品と間違えて
レンタルしてしまったが、
将来夫婦になる勝新太郎と中村玉緒が
共演していたことにはニンマリ。
もっとも、作品の中では
接点の全く無い共演ではあったが。

また、その勝新を尻目に
妹を妾にした旦那を演じる進藤英太郎は、
芸妓を身請する旦那業の難儀さを
醸し出して笑いを誘う。

芸妓としてのしたたかさと
妻の座への希求の中で揺れ動く心情を描く
この物語、
何となく希望も感じられるエンディング
ではあるが、
しかし、問題は解決していないままだ。
姉は、好意を寄せる男と
一緒になれたとしても
妻の座が約束されているのか不明だし、
身請けされ、妾状態の妹も、
勝新との結婚には、
そのハードルはまだまだ高そうだ。

いずれ溝口版も鑑賞の予定。
同じ脚本ではあるようだし、短い尺なので、
物語としての解決編には
ならないのだろうが、
二人の行く末がどう感じられるのか等、
名作の誉れ高い溝口作品では
どんな発見があるのか、
楽しみになってきた。

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KENZO一級建築士事務所

1.5間違えた!

2016年4月15日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

 溝口健二の監督作品と思い込んで借りたDVD。中村玉緒が出てきた瞬間、おかしいことに気付いた。中村の年齢と溝口監督の制作年代が合わないことに気付くのは、私よりも20年は年上の年代であろう。小暮実千代と小野道子では分からなかいが、借りてきたのは野村浩将という監督がリメイクした溝口健二と依田義賢の脚本「祇園の姉妹」であった。
 溝口ブランドが剥がれた映像ではあったが、これはこれで楽しめた。特に、小野道子の手管に丸め込まれる進藤英太郎のコメディ。胡散臭いおやじを演じたら本当に面白い。見ているほうは笑いをこらえるよりほかない。
 驚きは、最後まで誰か分からなかった高橋貞二似の呉服屋の店員が、勝新太郎だったことである。言われれば勝新なのだが、あまりの若々しさに全く気付かなかった。彼の恋の相手が小野ではなく、中村だったら気付いたかもしれないのだが、、、
 琵琶湖に遊びに行くシークエンスは、実はこの若い二人の素顔を描く重要なものだと思う。琵琶湖紅葉のガラス張りの部屋のシーンには見覚えがあり、子供のころにテレビで見たような気がしている。
 なんだか不思議な気分で一本の映画を観た。

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佐分 利信
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