千年女優

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

「パーフェクト・ブルー」の今敏監督が、数十年にわたり1人の男性を思い続けた女優の姿を、時間や空間を超えて描くオリジナル長編アニメーション。小さな映像制作会社の社長・立花は、かつて一世を風靡した昭和の大女優・藤原千代子のドキュメンタリーを作るため、人里離れた千代子の邸宅を訪れる。30年前に突如として銀幕から姿を消し、隠遁生活を送っていた千代子は、立花が持参した1本の鍵を見て、思い出を語りはじめる。千代子の語りは、いつしか現実と映画のエピソードが渾然一体となり、波乱万丈の物語へと発展していく。第5回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門では、宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」と同時に大賞を受賞。そのほか、第33回シッチェス・カタロニア国際映画祭最優秀アジア映画賞を受賞するなど、国内外で高い評価を獲得し、ドリームワークスにより世界配給もされた。

2001年製作/87分/日本
配給:クロックワークス
劇場公開日:2002年9月14日

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(C)2001 千年女優製作委員会

映画レビュー

5.0歴史に残る名作

2024年2月29日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

何年振りかに映画館で観ることが出来た。やはり至上の傑作である。夢うつつの人生のあり方、幻かもしれない恋心を追って生きることを肯定する物語に映画女優として生きることを重ねる。人生は映画のようなものだ、ということをこれほど的確に描けるとは。今敏監督は現実と非現実のあわいを突破する物語を常に描いてきたけど、それが悪夢のようなものではなく、人生を彩る素晴らしいものであると、謳いあげている本作が僕は一番好きだ。人は幻を信じられるからこそ、生きていられるということをこの映画は教えてくれる。
アニメーションという媒体の面白さに自覚的な作品でもあると思う。極めて現実的な世界観であるが、現実と虚構を絵のテクスチャーで等価に描くからこそ、テーマに説得力が生まれる。映画が現実だったのか、それとも人生が映画だったのか、胡蝶の夢のような感覚を観客にダイレクトに体験させる見事さ。
エンディング曲のロタティオンも最高。

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杉本穂高

4.5とても素晴らしい作品。でも千代子さん、ちょっと怖い

2024年3月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

とても素晴らしい作品です。

まず絵がいい。ひじょうにうまい。驚くほど人体のデッサンがしっかりしていて、その動きが自然なことに感心しました。
だから、いろんな「感じ」がとてもよく表現されている。歩いている感じ、走っている感じはもちろん、そのほかの、人間が生活する際の様々な「感じ」を見事に描き出している。
人間の体は見慣れているだけあって、少しプロポーションが狂ったり、動きがおかしかったりすると、すぐに違和感を感じてしまいますからね。これだけしっかりとした絵を作れるようになるには並々ならぬ修練が必要でしょう。
線描を主体としたキャラクターのフォルムと、彩度をおさえた色彩が美しく、すべてのシーンをアートとしても楽しめます。
宮﨑さんの作品をはじめ、新海さん、細田さんなど、日本のアニメ映画における人物表現はどれもすごいけれど、僕は本作の人物表現が一番好きかもしれません。

また、ストーリー展開もユニークで、「よくこんなこと考えるなぁ」と、これまた感心。
ユーモラスな味つけもバランスよくされていて、物語のテンポもいい。カメラマンの井田の関西弁が「ツッコミ」のように効いていて、何度も笑わせてくれました。

それから監督の映画愛も伝わってきた。
僕には黒澤明の『蜘蛛巣城』しかわかりませんでしたが、ほかにも何かの映画の場面が引用されていたのかな?

ところで、この物語の一途な愛はすごいなと思いますが、しかし何ごとにも加減とか限度というものがあります。
千代子さん、執着が過ぎるようで、ちょっと怖い。
――と思って、家に帰って調べてみたら、本作のキャッチコピー、「その愛は狂気にも似ている」なんですね。やっぱり。

追記
今敏という人物を昨年はじめて知りましたが、2010年に46歳で亡くなっているんですね。
すごい才能なのに……。なんとも残念なことです。

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peke

4.5日本アニメ史に残る傑作!

2024年2月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

興奮

幸せ

何故今までこの作品を観なかったのだろう。
リバイバル上映がされているということで知った作品(私の住む地域では上映されなかった)。タイトルに惹かれてずっと引っかかっていた。今敏監督は名前は知ってはいたが、作品は観たことはなかった。今日、やっと観た(2024年2月17日、DVDで鑑賞)。

ストーリーと構成が凡人が考えつくものを遙かに超えている。それでいて、全く破綻していない。目まぐるしく変わる時代、場所、服装、役柄、音。その対比のように変わらない女優の一途な愛と鍵。最後にどこに行き着くのか、引き込まれるように魅入ってしまう。

主人公千代子を取材する立花は、1人の熱狂的なファンとして時空を超えて千代子の回想の物語に入り込んでくるが、彼は単なるインタビュアーではなかった。千代子の終わりなき物語のなかに実際に存在していて、千代子が知りたくない悲しい事実を知る身であった。。。この演出も唸ってしまった。

そして最後の千代子の言葉。これぞまさに女優という台詞だった。

今敏監督がもう亡くなっているのが惜しい。この作品は、もっと評価されていいと思う。
間違いなく日本アニメ史上に残る傑作だ。

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TS

4.5今日見ました

2024年2月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

扇町キネマで今日鑑賞しました。

今敏監督もこの映画も全く知りませんでした。
でもアニメも漫画も小説も好きな50代のおじさんです

50席あったのかな
3分の2埋まってて若い女性の方々ばかりで
面食らいましたが笑
男性はおじさん3名でした

コメントを日頃しないので
うまく書けませんが二十数年前とは思えない
千年女優とのタイトルなので
どんな繋がりや切り替えをするのかと怪しんでましたが
納得できる切り替えで
女優として第一線で活躍してること
鍵の男性を想い続けてることがよく分かりました
最後に鍵の男性を追いかけてる自分が好きという
告白がありましたが最後に納得できる気付きが
出来てよかったと想いました

また監督のリバイバル放映があれば
見てみたいと想います

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mmnioh
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