ハッシュ!

劇場公開日:

解説

一組のゲイカップルと孤独な女性が、新しい家族の形を巡って繰り広げる騒動を描いたヒューマン・ドラマ。監督は「渚のシンドバッド」の橋口亮輔。橋口監督による原作を基に、監督自身が脚色。撮影を「コンセント CONCENT」の上野彰吾が担当している。主演は、「害虫」の田辺誠一と「ひとりね」の高橋和也、「Reset」の片岡礼子。第75回本誌日本映画ベスト・テン第2位、主演女優賞(片岡礼子)受賞、第54回カンヌ国際映画祭監督週間出品、第24回ヨコハマ映画祭作品賞、監督賞、主演男優賞(田辺誠一)受賞、芸術文化振興基金助成作品。2001年11月24日より長崎・長崎セントラル1にて先行上映。

2001年製作/135分/日本
配給:シグロ
劇場公開日:2002年4月27日

ストーリー

奔放なゲイライフを送るペットショップで働く直也、ゲイであることを周囲に悟られないように暮らしている土木研究所で働く勝裕。2丁目で出会い交際を始めたふたりの前に、ある日、歯科技工士をしている朝子と言う女が現れる。人と触れ合うことを諦め、愛の無いセックスを繰り返す日々を送っている彼女は、勝裕がゲイであることを知った上で、彼の子を妊娠したいと相談を持ちかけてきた。幼くして父親を亡くしていた勝裕は、自分が父親になれるかもしれないことに興味津々。一方、初めは激怒していた直也も彼女の真剣な態度に次第に理解を示し、やがて3人は子供を持つことに前向きに取り組んでいく。ところが、勝裕に想いを寄せる同僚のエミの密告でそれを知った勝裕の実家の嫂が、精神科に通院歴のある朝子の血を栗田家に入れる訳にはいかない、彼女は家族を、そして子育てを軽く考えていると猛反対し大騒ぎとなってしまう。しかし、その兄一家も兄の急死で敢えなく崩壊。こうして従来の家族の在り方の儚さを目の当たりにした3人は、新しい家族の可能性を探って新たな一歩を踏み出していくのであった。

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

監督
脚色
橋口亮輔
原作
橋口亮輔
企画
山上徹二郎
製作
山上徹二郎
石川富康
塚田博男
プロデューサー
渡辺栄二
撮影
上野彰吾
美術
小川富美夫
装飾
大坂和美
音楽
ボビー・マクファーリン
主題歌
ボビー・マクファーリン
ヨーヨー・マ
録音
高橋義照
整音
斉藤禎一
音響効果
柴崎憲治
岡瀬晶彦
北田雅也
照明
矢部一男
編集
橋口亮輔
衣裳
宮本まさ江
選曲
佐藤啓
アシスタントプロデューサー
小川真由
製作担当
池原健
助監督
藤江義正
スクリプター
西岡容子
スチール
有元伸也
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映画レビュー

3.5予想を遥かに超えて前衛的な作品でした💜

2023年10月29日
iPhoneアプリから投稿

『第一回丸の内映画祭』の上映作品として丸ビル7Fホールで鑑賞。
前半は観ていて結構嫌な気分になることも多くて。ゲイかどうかが問題なんぢゃなくて、恋人同士のリアルな痴話喧嘩を見させられるのが耐え難く😅でもそのおかげで学んだ。痴話喧嘩って男性の考え方と女性の考え方が異なるから噛み合わずに生まれるものなんだと思っていたけど、男性同士でも起こりうるんだとしたらそれは生物学上の性別は関係ないってことなのねー。
とにかく相手が“ああ言えば(嫌味たっぷりに)こー言う”の喧嘩スタイルは見ていて不愉快極まりなかった。そう感じられるってことは自分も大人になったのかな😂(←自分も若い頃はそんな喧嘩してました)

自分と考え方の合う合わないはもちろん存在するけど、俯瞰して見てると誰もおかしな事は言ってない。ただ、立場が違って考え方が異なるだけ。その多様性をしっかりと認めてる2001年ではすごくアヴァンギャルドな作品だったのでは??あ、いやいや、全員が容認できる考えは嘘だ。あの事務の女の子は行き過ぎです💦💦💦

2001年ってついこの間だと思っていたけど気付けばもう20年以上も経過していて、斎藤洋介さんや深浦加奈子さんみたいな今は亡き名優たちの若かりし頃の姿を見て懐かしく思えた。
やっぱり映画っていいなぁ💕

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らまんば

4.0不気味で塗り固めて、尚も軽快であろうとする。

2021年8月6日
iPhoneアプリから投稿

公開時以来の再見。
こんなに良かったか。
陰鬱と不気味で塗り固めて、尚も軽快前向きであろうとする、
その逆向きの作劇にこそ充満する撮る動機の強度に感動した。
一層の隘路に踏み込んだかのラストに、これ以上ない軽快な幕切れのセンス。
今を先取りして、何と面白い物語だろう。

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きねまっきい

4.021世紀の幕開けに相応しい作品

2020年7月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2001年公開
21世紀の幕開けに相応しい作品だと思います
本作公開から20年近い年月が経った現在では、このような物語が現実にあるのかも知れないと普通に思える程になっているのです

21世紀とは何でもありの世界
したいようにすべての人間が好きに生きるのです
価値感は拡散し、規範も果てしなく拡散していくのです
行き着く先はどこかも分かりません

主人公勝裕の実家はとうとう更地になってしまったのです
井戸も鉄の蓋で閉じられてしまいました

あの後産まれた子供は今頃は大人になっていることでしょう
その子供達はどのように両親を捉え社会を捉えるのでしょうか?
どのように生きているのでしょうか?

普通の異性間の両親の子供に生まれ育てられても、あのペットショップに来ていた可哀想な少女だっているのです
どちらが幸せなんか言えたものではありません

人は好きに生きる権利があります
他の人に迷惑を掛けない限り差別されるいわれもありません
自治体によっては同性カップルを夫婦と認める所も出てきたのです

答えはありません
しかし問題を直視して取り上げること
それは映画の使命でもあるはずです

素晴らしい仕事だと思います

一昔前、東京でだったか、大阪でだったか、
どこかの馴染みのバーでかなり酔っていたときに、体を密着してきた同性がいました
ギョッとして自分はノンケであることを伝えました

正直に言うとほんの少しだけ、禁断の扉を開いてみたら?という気が一瞬だけありました

映画だけの特殊な世界ではなくなりつつあるのです

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あき240

3.5ジェンダーフリーの名のもと、多様な家族のあり方がみなおされ、医療技...

2016年10月28日
Androidアプリから投稿

ジェンダーフリーの名のもと、多様な家族のあり方がみなおされ、医療技術の進歩もあいまって今や映画のデキゴドでおさまらないリアルな家族のかたちである。

修羅場のシーンがリアルでなかなか良かった。
同性を好きになった時点で家族は諦めているという直也、ゲイだという理由で父親になる未来の選択肢がなくなるのはおかしいと主張する勝裕。
同性愛者の人生観や価値観が興味深い。

朝子の話す家族像は、こどもが夢見るような、ある種の純粋さが感じられる。
何にもしばられない人間愛を感じられるからこそ、将来への楽観的な、それでいて自由で希望に満ちた話として、三人で仲良く鍋を囲んで話せるんだろう。

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laika
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