私は二歳

劇場公開日:

解説

松田道雄著「私は二歳」「私は赤ちゃん」より「破戒(1962)」のコンビ和田夏十が脚色、市川崑が監督した子供の物語。撮影は「鯨神」の小林節雄。

1962年製作/87分/日本
原題:Being Two Isn't Easy
配給:大映
劇場公開日:1962年11月18日

ストーリー

太郎くん(〇歳→二歳)は都内の団地に住むサラリーマン夫婦、小川五郎と千代の一人息子として生まれました。両親は太郎くんを育てるのに毎日毎夜真剣でした。太郎くんが笑ったといっては喜び、蟹のように一歩一歩あるいたといっては歓声をあげ、団地の階段を高いところまで這い上がったといっては仰天する両親なのです。とにかく両親は太郎くんを眼の中へ入れても痛くないほどかわいくて仕方ありません。だが、両親のそんなかわいがり方は、太郎くんにとって嬉しいのかどうか……。案外、その小さな胸中で迷惑がっているかもしれないのです。大人たちに拘束されず、自分の体内に充満している生命の無限性を動作によって発散させたいのかも分らないのです。ある日、太郎くんは転居によって新しい家族に祖母をくわえ、郊外の平屋に住むことになりました。おいたに、怪我に、自家中毒、風邪等々、両親や祖母の神経が休まる暇もありません。それに母親と祖母のしつけ方のくい違いがあったり、父の勤務先のごたごたや、それらに起因して母親のいらいらが生じたりします。が、突然そんな太郎中心の生活に祖母の死がおとずれました。しかし、太郎は人間の死ということをしりません。おばあちゃんは遠い遠い所へ旅行に行ったと信じこんでいます。丸い大きな月の昇ったある夜、太郎は小さなバースディ・ケーキと二本のローソクの前に座っています。ローソクの小さな炎が太郎と両親の顔を柔らかく浮き上がらせています。太郎は心の中で呟いています。「ボクは二つになった。だからローソクも二つだ。ボクは二歳、ボクの名は太郎」。太郎くんは何やら満足そうにほおえんでいます。これからも太郎くんは、みんなの愛情と心づかいの中でぐんぐん大きくなってゆくことでしょう、両親の顔もはれやかです--。

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映画レビュー

3.0市川崑、都会的現代的ハイセンス。

2021年4月17日
iPhoneアプリから投稿

都会的現代的ハイセンスは50年を経て尚色褪せない。
市川崑。
赤ん坊を描くと見せて大人を社会を死を描く。
風刺と見せて情を描く。
日本家屋の深淵な暗闇、岸田今日子の怪演に後の金田一連作が覗く。
西川美和は本作から傑作「蛇イチゴ」を産み出したか。支持。

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きねまっきい

3.0監督も子育てしたのかしら

2019年11月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

市川崑監督による子育て奮闘記。1962年当事の住宅事情や家族観、夫婦の姿など興味深く見れた。崑監督ならではのスピーディな演出や独特のモンタージュも楽しい。

子供の独白による視点、ややクールな描写もあるが、全てを包む温かい眼差しが奥底にはあるのが感じられた。
山本富士子は美しく、姑の浦辺粂子は実に上手い。ちょっと駄目な旦那役の船越英二がすごくリアリティあって良かったです。

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散歩男
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