惑星大戦争 THE WAR IN SPACEのレビュー・感想・評価

　DVDで鑑賞。

　「スター・ウォーズ」公開を翌年に控え、現地で爆発的ヒットを記録している同作を迎え撃つべく、邦画も負けじと便乗作を製作。その内のひとつが本作、「惑星大戦争」です。その出来はまずまずと云ったところ。もうちょっと頑張って欲しかったなぁ、と云うのが正直な感想です…。

　粗の目立つ脚本やキャスト陣の棒演技に冷や汗が出そうでした。池部良の貫禄で辛うじてバランスが保たれていた感じ。後半になると頭を抱えたくなる展開の連続でした。特に敵の恒星ヨミ第三惑星人がお粗末過ぎやしないかな、と…www
　人質に船内構造やスイッチの仕組みを見られてしまうし、何故か牢屋を開錠するスイッチが牢屋の室内にあって簡単に脱走を許してしまうし、強そうな見た目の獣人がナイフのひと刺しで呆気無く死んでしまうし、そもそも浅野ゆう子を誘拐して監禁しておく必要性が無くなったのに殺しもせず、セクシー衣装を着せたままにしておいたのが最大のとんちんかんwww
　この天然っぷりには既視感が…。もしかして恒星ヨミ第三惑星人って、ブラックホール第三惑星人となんらかの繋がりがあるのでは？　―とアホな勘繰りをしたくなりましたwww

　当時の東宝特撮は、「日本沈没」などのパニック映画路線を除いて全て低予算・少日数での製作体制であり、本作もご多分に漏れず、急ピッチで製作されました。対抗馬の「スター・ウォーズ」も低予算で製作されたことは有名な話ですが、日本とハリウッドでは“低予算”でも予算規模は雲泥の差であり、端から勝ち目は無かったのかもしれません。
　宇宙描写も轟天が飛行するシーンも、本作の18年前につくられた「宇宙大戦争」の頃と同じレベル。しかし轟天と大魔艦の戦闘には手に汗握り、それまでの残念な感情を払拭してくれました。「宇宙戦艦ヤマト」の影響を諸に受けているのは致し方無いとして、スピード感溢れる描写は、これまで培われて来た操演技術の集大成を観たようで感無量でした。
　轟天や大魔艦の造形も低予算ながらの一極集中が計られたのか、圧倒的なカッコ良さがあり、“ザ・宇宙戦艦”なフォルムの轟天とローマ船のような大魔艦とのビジュアルの違いも楽しく、本作の魅力のひとつであることは間違い無いでしょう。

　福田純監督が後に、「時間があればもう少し面白いものになった」と回顧されているように、低予算・急ピッチが仇となったのは確実。本作が好きだと云う庵野秀明に「シン・惑星大戦争」としてリブートして欲しいなと思いました。

【余談】
　津島利章の劇伴が最高！　「仁義なき戦い」の時とは違う軽快なスコアが本作を大いに盛り上げていました。轟天と大魔艦の戦いのシーンで流れていた「激突！轟天対大魔艦」は、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」におけるヴンダーの最終決戦場面で効果的に使用されていましたねぇ…。