誘拐報道

劇場公開日:

解説

幼児誘拐事件を通して浮き彫りにされる、犯人とその家族、被害者の家族、警察及び報道関係者の姿を描く。原作は読売新聞大阪本社社会部・編の同名ドキュメンタリー。脚本は「徳川一族の崩壊」の松田寛夫、監督は「犬神の悪霊」の伊藤俊也、撮影は「飛鳥へそしてまだ見ぬ子へ」の姫田真佐久がそれぞれ担当。

1982年製作/134分/日本
原題:To Trap a Kidnapper
配給:東映
劇場公開日:1982年9月25日

ストーリー

豊中市の私立学園一年生の三田村英之が、下校途中に誘拐された。県警本部の発表で、犯人が英之少年の父で小児科医の三田村昇に三千万円の身代金を要求していることが分かった。各新聞社に“報道協定”の要請があり、子供の生命がかかっているため、各社は受けざるを得なかった。三田村家には遠藤警部以下六名の警察官が入り込み、昇や妻の緋沙子と共に電話を待った。武庫川の川原に緋沙子が一人で来るようにとの電話があった。川原には英之の学帽とランドセルが置かれてあった。山岳地帯を貫いて、日本海側へ向かう高速自動車道。早朝の不甲峠を一台のムスタングが通過していく。数刻後、そのムスタングからサングラスの男が降り、公衆電話ボックスに向かった。ダイヤルをまわした先は三田村家。男は今日中に金をそろえるように指示して受話器を置いた。この知らせに大阪読売本社は色めきたった。「協定を結んだ以上、取材・報道は自粛するが、協定解除に向けて取材の準備はおこたりなく!」檄をとばす吉本編集局長。同じ頃、日本海を見下す断崖の上から、犯人が布団袋に入れた子供を投げすてようとするが、密漁者たちがいるために失敗。その足で犯人=古屋数男は老母のいる実家へ寄る。そこへ数男の妻・芳江から電話がかかってきた。芳江は喫茶店をだましとられた数男を助けようと造花工場で働いているのだ。気が弱いくせに見栄っばりな数男は娘の香織を私立学園に通わせていた。その香織と英之は同じクラスで仲良しだったのだ。実家を出た数男は再び英之を殺そうとするが、袋の中から「オシッコ!」と訴える英之に小用をさせているうちに殺意はしぼんでいった。途中で財布を落とし、持ち金も無くなった数男は、三田村家に電話を入れ、取り引き場所として宝塚市内の喫茶店を指示。捜査本部はあわただしく動き、記者たちも店を張り込んだ。危険を感じた数男は店に近づかなかった。風邪気味だった英之が悪寒を訴えた。このままでは英之が死んでしまう。焦る数男は、最後の指示を三田村家に伝えた。箕面市のレストランだ。三田村夫婦は警察に張り込まぬように哀願し、レストランの前で待った。しかし、数男は路上に張り込んだ刑事たちの姿を見つけた。万事休すだ。子供が死んでしまう。もう身代金は取れない……。翌朝、路上に停車して呆然としている数男が逮捕された。トランクの中の英之は無事だった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第6回 日本アカデミー賞(1983年)

受賞

助演女優賞 小柳ルミ子

ノミネート

作品賞  
監督賞 伊藤俊也
脚本賞 松田寛夫
主演男優賞 萩原健一
助演女優賞 秋吉久美子
音楽賞 菊池俊輔
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映画レビュー

4.0懐かしい電話だからの緊迫感

2023年4月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:TV地上波
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Bluetom2020

2.5ずさんな計画

2022年10月8日
Androidアプリから投稿

子供の誘拐事件が発生しマスコミと警察で報道協定が結ばれた。萩原健一扮する古屋数男は、故郷に戻り母親に会っていた。
どんな奴でも母親はいて別の顔で接している。母親からすると可愛い息子なれど、場面によっては極悪非道の者かもしれない。
冒頭スナックのママの葬式から始まるが、新聞記者たちが集まる店と言う設定だろうが全く関係ないシーンであった。無駄な場面が多かったかな。計画もずさんだったよね。

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重

5.0黒澤監督の誘拐映画「天国と地獄」には及ばすとも、名作には間違いありません 傑作です!

2022年5月2日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

さすが伊藤俊也監督!
圧倒的なクオリティで大満足です

導入部からするするとスムーズに引き込まれる優れた脚本と演出
見事です

配役の冴えはもう神がかりの域です
萩原健一は犯人のプロフィールにドンピシャ
特に小柳ルミ子は、もう彼女しか考えられない最高の配役です
もし、この役が吉永小百合や大原麗子、いしだあゆみだったならと想像してみて下さい
明らかに次元の違うリアリティある演技を示したと分かるはずです

秋吉久美子も、精神の振り切れる寸前の有り様の演技を話しかた、声の色で上手く表現しています

三波伸介が思いの外の名演で、もっと映画に出すべき人であったと残念至極です

主人公の田舎は京都府の日本海側の丹後地方
天橋立よりまだ北、船宿がある伊根町を過ぎて
丹後半島の先を回り込んだ経ヶ崎の辺りとおもわれます
宝塚から車で3時間半くらいでしょうか
今なら道も良くなっているので2時間半程度でしょう
日本海側ですから、冬は雪が積もります
時には豪雪にもなります

機織りの音は、名産品の「丹後ちりめん」を織っている音です
ガチャマンという言葉が大昔にあったそうです
機械が一回ガチャと動くだけで1万円になったという意味だと現地の人から聞いたことがあります
それも遠い大昔のことで今はその音すらしないようです

黒澤監督の誘拐映画「天国と地獄」には及ばすとも、名作には間違いありません
傑作です!

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あき240

3.0唾が飛ぶ…

2022年2月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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KEI
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