劇場公開日 1957年11月17日

ひばりの三役 競艶雪之丞変化(前後篇)のレビュー・感想・評価

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4.0美空ひばりが出づっぱり!

2009年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

goo映画検索で「美空ひばり」とうつと、ズラーと作品が並ぶ中で、この作品を選んだ理由は、最初から最後まで美空ひばりづくし、ひばりが出づっぱりという珍しい映画だからだ。戦前のキートンやチャップリンの時代ならいざ知らず、戦後何十年もたってのスター映画で、人気者が全シーン、ひょっとすると全カットにいたるまでスクリーンに登場している、なんていう非常識な映画は、私の記憶の中では古今東西、邦画洋画問わず、この作品しかないように思う。内容はともかく、それだけでも名作の理由になる?と思った。

 もう二十年以上も前、アニメ製作会社に勤めていた私が、河田町にあった当時のフジテレビ本社まで放送素材を届けに行ったとき、フジテレビ内の長い廊下の先から、いっぱいの取り巻きを連れてやってくる一団に出くわした。「いったいどんな芸能人がくるのだろう」と思い、立ち止まってその一団を通り過ぎるのを待っていると、目の前を歩いていったのが、ナント美空ひばりだった。そのときに何に驚いたかというと、その大物芸能人の背の低さだ。自分の半分くらいしかないのかと思うくらいに小さい身体をした美空ひばりが、スクリーンやステージに立つとすごく大きく見せる。さすが大物は違う、と感心したものである。

 この映画の美空ひばりも、とても大きい存在である。日本芸能界最後の大物を、ぜひ、この作品で見届けてほしい。
 それにしても、スケジュールをおさえるのも大変な人気者を出づっぱりできたなんて、どんな秘密がこの作品に隠されているのか。なんとも不思議な映画である。

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こもねこ