人斬り

劇場公開日:

解説

「首」の橋本忍がシナリオを執筆し、「御用金」の五社英雄がメガホンをとった。撮影は「関東おんな悪名」の森田富士郎。

1969年製作/139分/日本
原題:Tenchu!
配給:大映
劇場公開日:1969年8月9日

ストーリー

岡田以蔵は、土佐の貧乏郷士に生まれ育った酒と女に目のない暴れ者だった。そんな彼を“人斬り以蔵”とまで呼ばれる刺客にしこんだのは、土佐勤王党の首領武市半平太。冷酷な革命家武市は、自分の政策上以蔵の腕を必要としていたのだった。土佐藩主の執政吉田東洋を門出の血祭りにあげて京に上った二人は、派手な殺りく活動をはじめ、好ましからぬ人物、を次々に消していった。以蔵の活躍は、一躍京洛の話題になり、薩摩の有名な人斬り田中新兵衛と比較されるほどになった。そんな彼にとっての関心事は、女郎おみのを抱くことと、姉小路邸で見かけた綾姫を偲ぶことだった。やがて、以蔵は渡辺金三郎を襲った武市の命に従わず、その暗殺に加わり、新兵衛と殺しの腕を競った。それから間もなく、武市は、以蔵に新兵衛の刀を持たせ、自分を後だてしていた姉小路を暗殺した。それは政策の上で相違が生じたためだった。この一件で嫌疑をかけられた新兵衛は、武士らしく自ら果てた。自分のおかれた立場の惨めさを思い知らされた以蔵は、悩み苦しんだ。そんな以蔵にあたたかい友情の手をさしのべたのは、坂本竜馬だった。竜馬は新しい日本をつくるために自分と行動を共にすることを勧めた。が、無学な以蔵は、大きな時の流れに押し流されてゆくのみだった。土佐藩執政吉田暗殺事件が露見した。そして武市一派は土佐に呼び戻され、取り調べられた。武市にとって、以蔵はもはや無用の長物でしかなかった。そこで、以蔵は武市の使いに毒をもられたが、九死に一生を得、白洲に出て武市一派の行状を暴露した。武市はやがて切腹、以蔵は武市から解放された喜びを味わいつつ磔台のつゆと消えていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5三島由紀夫がすごい

2021年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

勝新太郎、仲代達矢、三島由紀夫、石原裕次郎の共演で幕末の暗殺者、岡田以蔵を描く作品だ。とにかく血なまぐさい殺陣すごい。テレビ出身の五社監督だからこそできる、それまでの様式的な殺陣とは異なる、本物の殺し合いの凄みに迫ろうと試みた野心的な作品だろう。序盤の吉田東洋の暗殺の場面は鮮烈な印象を残す。岡田以蔵がそれを見て感化されるのも納得の凄惨で人間の生き死にの瞬間の、鮮烈さが描かれている。
勝新太郎演じる岡田以蔵のチャーミングさとやんちゃさを併せ持ったキャラクターも憎めない感じが出ていて良い。大きな人斬り仕事に置き去りにされた以蔵が、ふんどし一丁で駆け出すシーンは大変に印象的だ。
そして、なんと言っても薩摩の田中新兵衛を演じた三島由紀夫の切腹シーンがすごい。実際に三島が切腹自殺をする1年前の作品だが、この頃の三島の佇まいは強烈な殺気と色気があり、いるだけで画面が引き締まる。

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杉本穂高

3.5三島由紀夫出演。

2024年2月5日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ヤクザ映画で見たことはあるが、三島由紀夫が時代劇出演の経験があったとは知らなかった。それだけでも観た甲斐があった。彼が実際に切腹自殺する前の年に映画で切腹するシーンを演じていたとは。ボディビルの効果か、実に見事な筋肉だった。勝新太郎の殺陣は雑に見える。少々長過ぎるのも玉に瑕。

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Yohi

4.0何が為に斬る

2023年5月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

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近大

4.0しっかり堪能するには最低限の歴史的知識は必要

2022年9月16日
PCから投稿

そうすると一部のキャラに非常に違和感を感じるが、そこは映画。すぐに慣れてしまう。
仲代達矢が醸し出す緊張感と勝新太郎が醸し出すユーモア感と言うか、大衆娯楽感と言うか・・そういうものがバッチリ噛み合ってとても面白かった。主人公のキャラクターがとてもよく分かり、そのキャラクターゆえに陥る苦しみ悲しみというものがよく伝わってきた。こんなキャラクターをしっかり描ききった橋本忍はやっぱりすごい脚本家だ。またこの映画には橋本脚本には珍しく、主人公が女と絡むシーンがある。そこのところがあることによって主人公のキャラが非常によく伝わってくる。それと女の態度やセリフが結構ジーンと来るものがあってよかった。
難点を言うとちょっと長すぎるところかな。あと締めくくりもしっかり昇華しきったという感じがせずに少し引き締まりがこないまま終わったという感覚があった。これはストーリーの性質上致し方なかろう。何しろ橋本忍が書いてもこのようにしか書けなかったんだから。
カメラや演出もとても良かった。街並みの美しさもあったし女郎屋での人物の絵もとても美しかった。もしかしたらリマスター版で色を加工していたのかもしれないがまぁ不自然さがなくて綺麗だった。やっぱりはフィルムは美しい。演出で冴えていると思ったところは走るところだな。・・あの部分は脚本上でも非常に重要な部分で・・それをあのような音楽をつけてあのようなカメラワークで撮影してああいう映画にしたら・・監督冥利に尽きるな。それと三島由紀夫の・・これはネタバレになるのでここには書けない。三島由紀夫の演技全体は良いのか悪いのか非常に微妙だが、あのシーンだけは・・・!
あと超人気のあった石原裕次郎も魅力的だった。今の若い女の子がこん時の裕次郎を見てどんな風に思うかちょっと聞いてみたいもんだな。
とにかくこれはこんだけ長いのにあきっぽい私が一回も休憩せずに一気に見たのだから中々の映画なのは間違いない。五社英雄作品ならまずこれをお勧めする。

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タンバラライ
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