HANA-BIのレビュー・感想・評価
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世界の映画評論家とは、ズレているような…
「その男、凶暴につき」の、不良警官を上品なストーリーと映像で変えたという
それだけの映画って気がしますね。
ビートたけし自身が描いた「俺の絵、キレイだろ」的な、いやらしい自己主張の
感じもしますし…
先に述べた様に、ただ映像がキレイなだけの映画っていう印象しか残って
いません…私的には。
「そして父になる」の是枝裕和監督や「スパイの妻」の黒澤清監督の様に
世界の映画祭で評価を決めている人と、日本人の映画ファンとは、認識や
評価にズレがある様ですね…
ヴェネチアで最高賞
賞を取ったのは分かる気がするけど、ヴェネチアの最高賞???
ゴダールも黒澤明も絶賛してるそうですが、
正直、僕には、そこまで良いとは思えません…
『ソナチネ』と感触が似てるけど、コッチの方が好きです。
たけしさんが若くギラギラしてる頃で、刑事役。
僕の評価は、3.5と4の間です。
クランキーチョコレート
本作で大杉さんや寺島さんを知る。たまーに買ってしまうのは、絶対この映画のせい。
北野作品は初めてだったが、動のバイオレンス描写と妻や部下との穏やかな静の部分の配分が、自分にとってはとてもしっくりきた。セリフが少ないのもよし。
よりアーティスティックというか、美というものが前面に感じられた作品...
よりアーティスティックというか、美というものが前面に感じられた作品だった。ほとんど台詞がないのに、最後のありがとうで泣かされるというさすが北野監督だった。
死生観の伝え方
「その男、凶暴につき」に始まり「ソナチネ」を経て本作が当時のたけし映画の集大成とも言えるだろう。
多くは語らず表情で物語る。数少ないセリフは訥々と語られ感情の起伏が見当たらない。ヤクザとのやり取りでさえ、淡々と進む。それでいて恐怖を覚える。
元刑事がヤクザから金を借り、盗難車をパトカーに仕立て銀行強盗を働くなど、たけしならではの荒唐無稽な発想で、これだけ死生観を訴えている物語にも関わらず、悲壮感が漂わないのは、たけし特有のユーモアだったり場面に合ったたけしの挿入画のお陰かもしれない。
多くを語らない分、一言一言の重みがある。
「ありがとう」と「ごめんね」。
夫婦間の会話は、いや、人間の気持ちを伝えるのに必要な言葉はこの二言で充分なのでは、と思わせる岸本加世子の演技に、この映画(物語)が進むにつれ堪えていたものが一気に弾き出されたような気がした。
主人公の心理状態を監督自身の絵による表現で代弁させる 北野武監督にしかできないことです
時制が複雑に入り組んで構成されています
どこまでが回想なのか、どれが現在なのか
中盤を過ぎてようやく、病気の妻と旅にでるところからが現在とわかります
しかし、その回想シーンも入れ子構造になっているようで回想の中で事件を思い返してフラッシュバックしたりします
混乱はしますが、観ているうちにわかる話です
人の記憶、それがあまり思い出したくない、しかし忘れようもない強烈な記憶ほど、直線的でなく本作のようなスパゲッティのように混乱したごちゃ混ぜの雲のようになっているのでは無いでしょうか?
冒頭の堀部刑事が撃たれるシーンはさつきが咲いていて初夏のようです
車椅子で浜辺に佇んでいたのは服装から秋から冬のようです
殉職した田中刑事の妻に会うのは、弁当屋のポスターから年明けのようです
雪の山奥の旅館と少女が凧揚げをする寂しい浜辺もそうでしょう
しかしそんな説明的なことはどうでも良いことでだだの背景であるだけです
不具となり家族を失った堀部元刑事の絶望と、同期する主人公の心理状態
それを監督自身の絵による表現で代弁させる北野武監督にしかできない高等な技が駆使されます
それこそが本作の主題なのです
華が頭の動物達
それは顔を失っている自分でしょうか?
華のように外面は美しく保っていても、本当の顔ではない
様々な動物と華の組み合わせをしてみます
それは、どれも本当の自分をみうしなっているということなのだと思います
自画像が描けないのかも知れません
後ろ姿ばかりの家族の思い出は、やはり取り戻したい昔の幸せな日々
楽しかった家族の中の自分といまの境遇の落差です
それは主人公西元刑事も同じなのです
もはや何ものかも自分でもわからないしろものなのです
しかし妻には心配させない顔でいます
ヒマワリの花の頭にライオンの体は、彼そのものです
そして打ち上げ花火の楽しかった記憶
それは西元刑事にもあった記憶なのでしょう
題名の意味は、楽しかった家族の記憶という意味なのでしょう
思い出を蘇らそうと、雪の中で点火する花火
それは今回の二人の旅そのものです
これこそがHANA-BI なのだと思います
小さいながら思い出は華を咲かせたのです
やっぱりと分かっていても笑いを取るのもさすがです
ラストシーンの凧揚げの少女は、高倉健主演の1978年降旗監督の冬の華のオマージュです
無心に遊ぶ少女と、その目前で殺し合う二人
そして傍観する人間
その映画も過去の忘れられない記憶が何度もフラッシュバックする映画でした
その作品には青いランプシェードも印象的に使われていました
本作でのキタノブルーは様々なシーンで色調を青み掛けていたりしています
特にお台場からカメラがパンしてレインボーブリッジと東京タワー方面を写すシーンは暮れゆく空が美しく青く撮影されています
これほど美しい東京の光景はそうないものです
傑作です
ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞をとるのも当然でしょう
難しかった
絵画のカットから始まる。
天使?
何かしらの意味があるのだろうな、と思った。
劇中で、喫茶店の背景で
絵画がさりげなく飾られていたり
又は、全面的にだったり、
何度も出てくる。
全部たけしさんが描いた絵のように思えて
なんとなくメッセージを感じる。
ひとつひとつメッセージは感じるのだけど
難しくて、理解はできなかった。
暴力と死。
なんと、いとも簡単に散ってしまう。
花のような儚さ。
HANA BIなのかな。
今まで観た北野作品のなかで
私としては一番難しかった。
どこがいいのかわからない
どこがいいのかわからない。ヤクザに金を借りて、取り立てのチンピラにも負傷させるし、刑事時代にも狂暴ぶりを発揮。銀行強盗なんて考える主人公は、周りのことを考えないロクでもないやつなんだから、同情の余地なしです。
終盤のたけしと岸本の演技はまぁまぁ見るべきところもあるが、それまでに感情移入できなかったものは置いてけぼりにされる。銃弾が2発撃たれたから、岸本加代子は撃たれたに違いないけど、たけしは自決したのかどうかが謎。大杉漣の描いていた絵に「自決」の文字があったので想像できるのだが・・・
はなび。ソナチネ
ソナチネはすでに啓示だった。子供のゲーム、若いシルエット、華やかな花のシャツ、牧歌的な風景は、陰謀の残酷さと視覚的に対照をなしています。必然的に準備していた大虐殺。その映画は私たちに衝撃を与えた。
ハナビの場合、北野武は同じ静脈を掘り起こすが、崇高に達する。彼は約束を守り、結果は素晴らしい美しさの花火です。
赤と青
北野武はこんなにもロマンチストなのか、と驚いた。北野武のダンディズムを体現するような西刑事と、その妻(岸本加世子)のラブロマンスが物語の中心。ものすごく心惹かれながらも、現実にはこんなこと有り得ない、とどこか冷めた見方をしてしまうところもあった。故・大杉漣の哀愁漂う演技も良かった。全体的に薄青い画面と、そら、海の青、雪の白、暴力で流される血の赤と、非常に絵画的な色の組み合わせが印象的な作品。久石譲の音楽がマッチしていて良い。
潔
無駄口は一切ない作品でした。
台詞で全てを説明しようとする映画が多い中、その表現力が高い評価を得ていることに納得しました。
命を落とした部下の妻子や、障害を抱えた上に妻子にも逃げられ、自殺を図った同僚を気遣う優しさ。
子供も亡くし、余命幾ばくもない妻への並々ならぬ深い愛情。
それらは、言葉はなくとも西の行動に表れていました。
一方でヤクザには容赦なく暴力を振るいます。。
凶暴な敵意と、不器用なほどの厚情という、大きな振り幅を見せる西が格好良いです。
闇金に借金しており、何をするかと思えば本当に警官姿で銀行強盗をして返済。
どうしようもない不幸が次から次へと覆い被さる中で、シュールな?笑いがちょいちょい入ってくるのはコントの発想なのでしょう。(全然笑えないのですが。)
不思議な絵も独創的でした。
ほとんど言葉を交わすことなく最期の旅をする西夫婦の、以心伝心の関係が素敵でした。
「ありがとう、ごめんね」の言葉が沁みます。
美しく咲いて散る短命の花々や、着地と同時に消えるまばゆい粉雪か、真っ赤な血潮で飾る侍のような自決か、一瞬輝く花火のように夜空へ消えたい、そんな鮮やかな死生観を描いているようでした。日が沈む方角から西という名字なのでしょうか...?
追悼大杉漣さん
大杉漣さんが亡くなって、見たいなと思ってたタイミングで地上波。
10代の頃一度見たのだけど、その時はハッキリ言って、この良さが分からなかった。静かで暗いと言うイメージだった。
その時は「その男凶暴につき」から「ソナチネ」「キッズリターン」…とずらっと
見て最後に満を辞して見たのだけど、急に暗っ!と言う感じでガッカリした記憶だけど、それを今見直して理由が分かった。
恐ろしいほどに無駄な説明、カットがない。口で説明しない、絵で見せる。ストーリーを進めながら過去を語ると言う手法について行けなかったと思う。今観ると映画だけど静止画的と言うか、それこそ大杉漣が作中で描く絵のようなカットの連続だと思った。無駄な事をしない潔さもカッコ良く、西と言うキャラクターも粗暴で静かな男だけど、全面に愛が溢れてたように思う。
夫人にだけ見せる仕草や言動も愛らしかった。
ラスト、凧が揚がらないんだよな…浮上しないんだ一向に…
北野武監督の一つの集大成のような映画だと思いました。
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