人魚伝説

劇場公開日:

解説

夫を殺された新妻が一人で復讐のために権力に立ち向かっていく姿を描く。宮谷一彦原作の同名劇画の映画化で、脚本は「春画」の西岡琢也。監督は「天使のはらわた 赤い淫画」の池田敏春、撮影は「女猫」の前田米造がそれぞれ担当。

1984年製作/110分/日本
原題:The Revenge of the Mermaid
配給:ATG
劇場公開日:1984年4月14日

ストーリー

佐伯啓介は、網番に出ていて一人の釣人が殺されるのを偶然目撃した。彼は妻・みぎわにそれを打ち明けた。啓介とみぎわは、入江でアワビを採って暮らす新婚夫婦である。町の実力者である宮本輝正は、海岸一帯にレジャーランドを作って儲けようと企てていたが、その用地が密かに原子力発電所建設の候補地として上っていた。みぎわは、死体のあがらない殺人事件を気にしている夫に「私が潜って確かめたる」と船を出した。潜ったみぎわの目に写ったのは、生命綱を引くはずの夫が胸板を鈷で射抜かれて没してゆく姿であった。海面からの水中銃で腕をやられたみぎわは、生命綱が岩の角で切断されたとたん失神してしまう。断崖下の岩場に打ち上げられ命をとりとめたみぎわは、自分が夫殺しの犯人にされていることを知る。動揺した彼女は、警官を傷つけて逃げ出し啓介の子供の頃からの友人で、官本の一人息子・祥平に助けを求めた。彼はみぎわを連れて渡鹿野島に渡った。そこは歓楽店だけが密集した警察もない小さな島である。祥平は、親しいスナックのママ・夏子にみぎわを預けた。閉ざされた島で苛立ちの日々を送るみぎわは祥平に電話をする。やってきた彼は突然、みぎわの首を締めたかと思うとその体を抱きすくめた。二日後、輝正らの一行が渡鹿野島へやって来た。彼らの宴会に出たみぎわは、原発に反対した官本の部下・下川の殺人現場を目撃されたため啓介が殺されたこと、みぎわに逃げられたので他の女に濡れ衣を着せたことを知った。みぎわは、祥平のさしがねで自分を殺そうとした男を逆に刺し殺すと海に飛び込んだ。復讐を決意した彼女は、官本宅に忍び込み輝正をプールの中で溺死させる。祥平らに網を被せられて投げ込まれた海中で、みぎわは啓介の死体を発見した。モリを改造した彼女は、展望塔での原発竣工パーティの只中、潜り込み片ぱしから人を刺し殺す。やってきた機動隊に包囲されれたみぎわは「いったい何人殺したら終わるんやろ」と立ちつくした。そこに彼女の願ったとおり大嵐が起こり、みきわは海の中に消えた。

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(C)1984ディレクターズカンパニー/ATG

映画レビュー

4.5てらさわホークさん

2024年2月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

てらさわホークさんが絶賛していたので観ました。
すごかった……。観て。

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md

5.0とてもよかった。素晴らしい映画を見たときに時々起こるのだけれど、自...

2022年4月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

とてもよかった。素晴らしい映画を見たときに時々起こるのだけれど、自分の感情のコントロールが完全に作品の方に委ねられれて、なぜだか涙が溢れてくることがある。そのときには主人公が可哀想であるとか、旦那を失って悲しく思っていることに共感しているわけではなくって、違った形で感情が現れる。これが以前に起こったのは、ダンサー・イン・ザ・ダークを見たときに後半を見ていて号泣していた時くらいだっただろうか。だいたいそういうときには人間の社会だとか装置の不条理に対峙したときに普通の市民の暮らしが粉砕されていく様を見ているときだったりする。

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ケ

4.0終盤は圧巻です。

2021年5月6日
iPhoneアプリから投稿

前々から気になっていた作品なんですが、期待し過ぎたせいか全体的には今ひとつ…但し、終盤だけ見れば満点ですね。

小説で言うと“ハードロマン”などと呼ばれる分野になるんだと思うのですが、その手の小説は結構好きですし、この作品も後半はかなり攻めていて面白いのですが、途中少しテンポが良くなくて中弛みしているように感じてしまいました。

しかし、繰り返しになってしまいますが、終盤の展開は見事なものでしたし、主演の白都真里さんの体当たりの演技は素晴らしかったですね。
白都真里さんの迫真の演技だけでも観る価値のある作品だと思います。

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刺繍屋

3.0ナウシカより断然こっち。

2021年3月26日
iPhoneアプリから投稿

同じ1984年のナウシカの抽象的で散漫な甘さに比べて何と具体的で密実切実なことか。
血みどろのドラマでなければ語れぬ激情があると311以後の今さら語っても遅いが、映画は何かを語れるとの希望を抱かせてくれる。
必見の重要作。

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きねまっきい
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