長崎ぶらぶら節

劇場公開日:

解説

長崎・丸山を舞台に、無償の愛に生きた芸者の人生を描く文芸ロマン。監督は、本作が映画初監督作となるTV『あ・うん』の深町幸男。第122回直木賞を受賞したなかにし礼による同名小説を、「異人たちとの夏」の市川森一が脚色。撮影を」の鈴木達夫が担当している。主演は、「時雨の記」の吉永小百合と渡哲也。2000年9月9日長崎・長崎東映にて先行上映。

2000年製作/115分/日本
配給:東映
劇場公開日:2000年9月15日

ストーリー

日本三大花街のひとつと言われた丸山の遊郭に売られておよそ40年、長崎一と言われるまでの名芸者となった愛八は、その気っぷのよさから誰からも慕われていた。ある日、彼女は五島町の大店・万屋の十二代目で、長崎でも指折りの風俗研究の学者・古賀と運命的な出会いを果たす。学問を極める為なら、財産を使い果たしても構わないと考えている古賀。そんな古賀の頼みを受けて、愛八は長崎に伝わる歌を探し記録する旅に同行する。旅は約二年間に渡り、やがてふたりの間に特別な感情が芽生えるが、決して肌を重ねることはなかった。旅の終わり、ふたりは長崎ぶらぶら節という歌に出会う。それは、愛八にとって想い出の歌であった。彼女が遊郭に売られる時、女衒の男が歌ってくれた歌だったのだ。歳月が過ぎ、年号は昭和へ移った。古賀と会わなくなっていた愛八は、少女の頃から可愛がっているお雪に芸を仕込んでいた。ところが、そのお雪が肺病にかかってしまう。決して安くはない治療費用を捻出する為、詩人・西條八十の紹介で“長崎ぶらぶら節”をレコードに吹き込み、その印税を全てお雪の治療費に当てる愛八。今や、お雪は愛八の人生そのものとなっていた。お陰でお雪は快復し、お披露目の日を迎える。だが、その席に披露目の資金を提供してくれた古賀が招待されていることを知った愛八は、決して顔を出そうとしなかった。彼女は、古賀への想いを一通の手紙に認めると、参詣した身代わり天神の境内で息絶えるのであった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第24回 日本アカデミー賞(2001年)

受賞

主演女優賞 吉永小百合

ノミネート

脚本賞 市川森一
助演女優賞 高島礼子
音楽賞 大島ミチル
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映画レビュー

3.0序盤から花街芸など私的に興味ない映像が続く。話もなかなか展開せず、...

2023年1月29日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

序盤から花街芸など私的に興味ない映像が続く。話もなかなか展開せず、あまり面白く思えなかった。
渡哲也と小百合様のラブロマンスがメインなのでしょうが、あんな関係ありえないでしょう。いくら時代とはいえ、いしだあゆみの役が哀れすぎる。その他の話も少々の展開を見せるもまあどうでもいいかな(笑)
原田知世と高島礼子は単なる添えもの。これ、どこまでが実話なんだろう?
本作、まずまずのヒットだった模様。それもまた時代なのかもしれない。
BS12

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はむひろみ

4.0吉永小百合と渡哲也 この二人が、実は本作の30年前結婚しようとまでした恋仲であったのです

2020年10月3日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

10歳くらいで長崎の花街丸山に売られて来た娘
それから40年後、愛八という名前の50歳くらいの年増芸者になってから、数年間の物語です

吉永小百合 55歳、渡哲也 59歳

この二人が、実は本作の30年前結婚しようとまでした恋仲であったことを知らずに観たなら、本作の本当の醍醐味がなんであったのか、本当のテーマとは何であったのか、少しも理解できないと思います

34年前の1966年、二人は「愛と死の記録」という作品での共演から相思相愛の仲に発展したのです
二人は同年の「白鳥」、翌1967年の「青春の海」の都合3作品で共演しました
しかし当時既に大スターであった彼女は父親を始め周囲の大反対にあい、とうとう結婚を断念してしまったのです

渡哲也がその後一般女性と結婚してしまうと、吉永小百合は、泣き暮らしたといいます

そして、ふた周りも年上のテレビ局の離婚経験のある男性と突然結婚してしまうのです

これは映画関係者や映画ファンなら、有名なお話です

それから約30年後、二人は本作の2年前の1998年「時雨の記」で、また共演を果たします
本作はそれに続いての、またもその二人の共演です

この因縁を知っていれば、この二人の間に何か有ることが、劇を超えて迫ってくる事が分かると思います

是非、本作は「愛と死の記録」をまず観た上で、「時雨の記」と本作をセットでご覧になって頂きたいと思います

この二作品はプロデューサー、監督始め製作陣の全員が、そのことを知っての上で配役され、脚本が書かれているのです
そしてもちろん当の本人達も

「時雨の時」は吉永小百合の持ち込み企画で、熟年の男と女の二十年ぶりの再会がふたりの心に火をともしたという内容です
彼女が長年愛読してきたという原作の映画化権を、彼女自身が版権元と交渉して買取ってまでしています
その上で相手役に渡哲也を彼女自身が指名しているのです
そしてまた渡哲也もそれを受けて立ち、この二人で映画製作を渋る東映社長を説得に行って、その作品の製作を実現させたものでした

本作でも、二人はそれ周囲が何を期待しているのかを百も承知で受けてたっているのです
というか本人達が何かを期待していたのかもしれません

30年後・・・
10年後なら、まだまだ生々しい
20年ならまだお互いに40代
顔を合わせてしまえばどうなってしまうか分からない・・・
しかし30年後なら?
もうお互いに初老に入ってしまいました
もうこの歳で色恋もなかろう
そしてもうすぐ21世紀、時代も変わろうとしているのです
また会ったからといって、どうかなることもない

いや、もしかしたら?
ひょっとしてどうかなってしまうかも知れない・・・

その危うさが、劇中の中の二人も、それを撮影する製作陣も、それを鑑賞する観客にもハラハラとさせるのです

脚本もまた、そのギリギリの崖っぷちの上を歩かせるのです
ぶらぶら節を探す一泊旅行のシーンは正にそれです

そしてまた吉永小百合は実生活で子供を産んでいないのです
それもまたお喜美と雪千代のお話と絡ませてあるのです

本作の2年前の「時雨の記」は吉永小百合からの、30年後のラブレターだったと思います
そして本作は、渡哲也からの返信だったのだと思います

本作の劇中で二人は、一つ布団で抱き合いながらも、男女の中にはなりませんでした

ラストシーンは、「抱いて」という台詞ともに幻想的な蛍の群舞で終わるのみです

結局、30年後の吉永小百合のラブレターへの返事は、今はもうただの友人だということを確認したというのが結論でした
それが本作であったように思えました

本作の中で愛八の吉永小百合は、古賀の妻に頭を下げて何も無いことを態度で示し、いしだあゆみが演じた妻もまたそれを信じて帰るのです
そこが本作のクライマックスだったように思いました

今日は2020年10月
本作からさらに20年が経ちました

吉永小百合と渡哲也が結婚を断念して、いつしか50年もの歳月が過ぎ去ってしまいました

渡哲也はつい先日の2020年8月10日にお亡くなりになりました

それだけの時間が過ぎ去りました
二人の胸の奥底に押し込められた想いは、とうとうそれっきりとなりました
長い長い50年に及んだ恋愛も遂に閉じられたのです

音丸役の内海桂子も、2020年8月22日に亡くなられてしまいました
彼女は、愛八の運命を予感させる大事な役でした

この映画に出演された二人の訃報に接して、本作を観ずにはとてもおられません

そして吉永小百合と渡哲也
この二人の悲恋の因縁を頭に、もう一度本作を観たとき、今渡哲也さんの訃報に接して、吉永小百合さんの胸中に一体何が去来しているかを考えざるを得ないのです

それは本作のラストシーン
そのものなのでは無いでしょうか?

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あき240

3.0渡哲也さんを偲んで 梅

2020年8月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

萌える

内海桂子師匠も偲んで

原作未読

2000年公開だから今から20年前の作品
その年の大ヒット作
初めての鑑賞

吉永小百合当時55歳くらい
渡さんは小百合より二学年上
この作品で小百合は2001年の日本アカデミーとブルーリボンW受賞
黒沢映画の『雨あがる』が高く評価され『バトルロワイヤル』が話題になった2000年邦画業界

芸者さんたちのバチバチとした対立が面白い
全体的にそういう話かといえば全くそんなことはない
渡哲也さん演じる古賀といっしょに長崎を歩き回り古い歌について調べる物語

自分で自分のことを「老兵」と自嘲する小百合にちょっと胸が痛くなる

ブラブラしているだけではなくしっかり芸者の仕事はやるし肺病の妹分の世話もする

御座敷で四股を踏むシーンあり

ちょっとだけど入浴シーンのサービスもあり

永島は明らかに本人が歌っていないのが残念
小百合と原田は本人が歌っているけど

うーん自分向きの映画ではない
芸者の衣装は艶やかだが話としては地味
でも星3つの評価が妥当

あと藤村志保の本名と旧芸名でもある結婚前の本名がとても珍しい事実を知ってしまった
演じた役の名前を芸名にするのはよくある話だ
藤村志保の藤村は志保役で出演した作品の原作者藤村藤村から頂いている

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野川新栄

3.5吉永小百合の映画を観たくて、この映画を観た

2020年6月17日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD
ネタバレ! クリックして本文を読む
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KEO
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