ドグラ・マグラ(1988)のレビュー・感想・評価
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原作の雰囲気がうまく映像化されています
ドグラ・マグラの原作は何度読んでも、わかった気になってもよくわからないところがいくつもあるので、本作もやはりわからないところを残します。
時計の音、人形劇、開放治療場の巨大仏頭、正木先生の不敵な笑い、主人公の知らない主人公、繰り返される場面、階段教室の騒乱、怖くて、華麗で、閉塞的で、時系列が前後して、そして終盤の悪夢的な映像の流れは見事です。もう少し長く作れればとそこだけが残念ですが映像はどれも実に素晴らしいものでした。
「ドグラ・マグラ」の世界の中の「ドグラ・マグラ」。
「ボーン、ボーン」時計の音の始まりとともに、この奇妙な世界の幕が開ける…。
精神病棟に入院させられていた青年が目を覚ますと、そこには若林教授がおりました。
教授曰く記憶喪失になっている僕は、過去の記憶を取り戻すために、残虐な人形劇の物語映像を観させられます。
「君は、この神話に登場する犯人の子孫である」と言われた彼は、どんどん自分自身の存在に追い込まれてしまいます。
何処までが現実で何処までが妄想なのか。
検討もつかない無限ループにハマった青年の精神は、戻りかけたと思った瞬間、ボーンと爆発して崩壊してしまうのでした。
記憶との戦い...なのか?
一切の予備知識なしに拝見。
記憶喪失と精神病棟という初期設定に、記憶力と観察力をフル回転必要があると身構える。
やがて、不規則に並べられたシーン割りに時間軸を考え始め、やや推理小説の様相を呈してきた所で、人々の矛盾を割りだそうと考え始める。
しかし、精神をきたした少年の妄想の可能性に考えを巡らし始め、次第に頭が混乱してくる。
そして、考えるのをやめる。
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この映画は原作に比べてかなりまとまっているらしく、見事と言わしめているそうだ。
しかし、それでこれである。
原作小説はよほどの混沌が見られるのであろう。
あくまで原作未読の状態での感想であるが、こういったものは考えた方が負けである(と言って逃げる)。
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