太平洋奇跡の作戦 キスカのレビュー・感想・評価
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海軍にまだ威信があった時期の稀有な作戦
クリント・イーストウッドの映画でも知られている硫黄島に留まらず壊滅に至った戦地は数多い、それも完敗を玉砕と言い換えて讃えている。当時の軍部は多勢に無勢でも楠木正成の千早城の闘いに倣えなどと支離滅裂、兵など所詮捨石と考えていた。そんな中でキスカ島撤収作戦はまさに奇跡、海軍の作戦としても稀有な例だろう。昭和18年といえば戦局も不利な中でもまだ余裕があったのだろう、映画の中でも同胞を救うと言うことよりもアッツ島玉砕に続いてキスカ島の兵までもみすみす見殺しにすることでの汚名、面子を慮っているようにうかがえる。
陣頭指揮に当たった木村 昌福少将は立派な髭でも有名、本作では三船さんの役どころも別名(大村海軍少将)で髭も生やしていないのだがでキスカ島の生存者を招いての試写会では劇中、髭の水兵に話しかけるシーンで笑いが起こったそうだ。
国威高揚の美談に描かなかったところは救いだが真相は知る由もない、生存者による考証、監修によりほぼ史実に基づいているとも思われるが作戦が成功していなければ描かれることのなかった戦争の不条理を垣間見せて頂きました。
緊迫の救出作戦!
DVDで鑑賞。
まさかの実話とは、恐れ入る…。
太平洋戦争の戦局が泥沼の消耗戦に突入していた昭和18年。アリューシャン列島はキスカ島に孤立した守備隊約5000人全員を無血救出した、という奇跡ような史実を元に映画化した東宝戦記大作。
豪華東宝男優陣が総出演!
三船敏郎を筆頭に、山村聡、志村喬、藤田進、佐藤允、平田昭彦、久保明、田崎潤などなど…お馴染みの顔が勢揃い。無条件に胸が高鳴る面子に大興奮! 女っ気ゼロの男たちのドラマ、堪能致しました(笑)
アッツ島守備隊が玉砕し、米軍の包囲網は着実にキスカ島に迫って来ていました。日々爆撃と砲撃が島を襲い、後に残されたのは総員玉砕のみなのか…。
キスカ島守備隊の運命を如何に定めるか…。元々はミッドウェイ海戦のための配備でした。それが徹底的敗北を喫した後、アッツ島だけでなく、キスカ島まで見殺しにするのか…。白熱の会議の末、海軍軍令部が下した決断―全員救出せよ!
救出作戦の指揮を執るために召集されたのは、現場叩き上げの司令官・大村少将(三船敏郎)。堅実かつ冷静、無意味な感情論は意に介さずあくまでも理論的な思考と歴戦の経験に裏打ちされた指揮にしびれる想いでした。
濃霧に紛れて、10隻ほどの艦艇が一列縦隊を形成し、精密な操艦でもってキスカ島に向かう…。キスカ島の周囲は米軍が包囲しており、その警戒網を突破しなければならず、常に緊迫感を維持しながらの演出に手に汗握りました。
それを増幅させる迫真の円谷特撮の素晴らしさたるや! 岩礁と岩礁の間の狭い水路を進んでいくシーンが特にハラハラさせられました。本編との絡みが絶妙でした。
キスカ島守備隊のドラマも秀逸。
果たして助けは来るのか来ないのか―。
希望を捨てずにいる者、絶望する者…様々な感情が渦巻く中、濃霧から救出部隊の艦影が顔を出した瞬間の歓喜! こちらまで嬉しくなってしまいました。
あんな泥沼の戦局にあって、よもやこのような人道的な作戦が決行されていようとは…。戦争というものの奇妙な面を見せられたように思いました。
女性と外国人が全く出演しない映画です。
敗色濃くなってゆく日本海軍が島に取り残された将兵を救出する作戦を描いた白黒作品。タイトルから結論がわかってしまうことになるが、どのように救出するかのプロセスを見ていただきたい。
当時の東宝の男優をずらっと揃えた出演。「三船敏郎」が主役であるが、最近では時代劇で悪役で出演する「中丸忠雄」が好演。今ではすっかりクイズ番組司会者の「児玉清」も気象予報の少尉役で出演。
この映画の監督も脚本家も戦争体験者とのこと。特撮も音楽も完成度が高く、スカッと爽やかとは言えないが(日本側にとっては)ほっとさせるラストシーンを描いてくれている。
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