女衒

劇場公開日:

解説

明治後期から昭和初期にかけて東南アジアを舞台に活躍した女衒・村岡伊平治の半生を描く。『村岡伊平治自伝』にフィクションを加えて映画化、脚本は今村昌平と岡部耕大の共同執筆。監督は「楢山節考(1983)」の今村昌平、撮影も同作の栃沢正夫がそれぞれ担当。

1987年製作/124分/日本
原題:Zegen
配給:東映
劇場公開日:1987年9月5日

ストーリー

村岡伊平治が大志を抱いて故郷・島原を捨ててから早や八年が経っていた。伊平治が長太、源吉と香港の港に降り立ったときの格好は髪は長くボサボサ、服はボロボロでまるでルンペン。もちろん金もなければ家もない。しかたなく大日本帝国領事館へ駆け込んだ。明治三十五年正月のことである。伊平治はそこで上原大尉から満州密偵としての役をもらい、シベリア大雪原へ向かった。やがて彼は奉天の女郎屋でトメという島原の女と出会い、幼馴染みのしほがシンガポールに奉公に出ていることを知った。香港へ戻った伊平治は越前屋の朝長という知り合いを訪ねたが、なんとしほは朝長の女房となっていた。朝長がシンガポールで身受けしてきたのだ。愛しいしほを買い戻した伊平治は、香港の海賊に捕まっている日本人の娘たちを助け出したのが縁で女衒を始めることになった。オナゴの貿易は国のためと張り切る伊平治は、南洋の島々に渡っては商売に励んだ。一方、しほはかつて海賊で今は英領マラヤのポートセッテンハムに力をもつ王に掛け合い、この地に女郎屋を開くことを許可させた。明治三十七年二月、対露宣戦布告の頃には伊平治は多くの子分を抱え、商売も繁盛、四つの娼館を経営するまでになった。明治四十五年、夏、伊平治は天皇の逝去に際し、切腹を試みたか失敗した。すぐに立ち直った伊平治は再び仕事に精を出すが、次第に反日感情が強くなり日本娼館も苦しい立場に立たされた。大正八年六月の廃娼制度の誕生は伊平治に決定的な打撃を与えた。世の中は大きく変わろうとしていた。多くの女たちは日本に帰ることを希望し、しほは王と愛し合うようになり伊平治の元を去った。このような時制に、王は伊平治の持つ娼館のすべてとしほを二十万ドルで手に入れたのである。昭和十六年十二月、大平洋戦争が始まる頃、伊平治もすでに七十歳に達していたが、彼の女衒根性はそう簡単に消えるものではなかった。日の丸を先頭に上陸してくる日本軍の隊列に向かって伊平治は「兵隊しゃーん、オナゴのことは俺に任しんしゃーい!」と叫んだのである。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第40回 カンヌ国際映画祭(1987年)

出品

コンペティション部門
出品作品 今村昌平
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映画レビュー

4.5村岡伊平治は村西とおるの前世に違いない!

2023年12月11日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

楽しい

興奮

監督と脚本は『復讐するは我にあり』『楢山節考』『黒い雨』『うなぎ』『カンゾー先生』の今村昌平

明治大正昭和にかけてお国のためとアジア各地で娼館を経営していた実在の人物村岡伊平治の半生をフィクションを交えて描いたエロティックヒューマンコメディー

あらすじ
貿易商になるため島原を捨てて中国船でこき使われそれに耐えかね香港の近海で船から脱出
泳いで香港に辿り着いた村岡は大日本帝国領事館の仲介で香港で日本人が経営する理髪店の従業員になった
上原大尉の命令で薬商人と偽り満州に渡りロシア軍の動きを調査する役目を負うことに
香港に戻った村岡だったが島田の店舗はインド人に取られ島田は港で露天理髪店をしていた
大家の島田を責める村岡だったがそこでシンガポールで島田に身受けされた幼馴染のしほと再会
海賊に囚われ女郎をやらされている日本人女性たちを救出し島田の家に連れてきた村岡
しほの勧めで女衒を始めることになった村岡
東南アジアのあちこちに娼館を建て運営する実業家になった
目指すは国立娼館を建てることだったが

いきなり緒形拳のTバック

明治天皇が崩御したからって切腹しようとするなんて全く理解できない
頭がおかしいとしか思えない
僕は軍国主義も皇室制度も嫌いなようだ

平凡な男性諸君に朗報
オッパイがいっぱい
是非観るべし
終盤には熊谷真実もオッパイを披露
緒形拳との濡れ場も
いま思えばキャラ的に大変貴重

熊谷真実演じるキノの堕胎のやり方が豪快
ありえない
ザコキャラを踏みつけるマリオじゃあるまいし

娼婦の皆さんがドスケベで生き生きとしてる
現代の無機質な活動家よりよっぽど生命力が溢れている
悪い意味でのいやらしさがない
ろくでなし子のような清々しささえ感じた
しかし終盤は悲しい展開に
マレー人にもあやマレー

boobという英単語があるがそれが相応しい

ラストはもはや悲劇を通り越して喜劇

配役
島原を抜け出し香港に流れ着いた村岡伊平治に緒形拳
村岡はシンガポールで女郎をしていたが朝長に身受けされ香港に移住してきた村岡の幼馴染のしほに倍賞美津子
英国領マラヤのポートセッテンハムで有力者の王に柯俊雄
香港で仕立て屋を営む朝長に三木のり平
大日本帝国陸軍大尉の上原に小西博之
村岡と共に島原を抜け出し香港に流れ着いた長太に深水三章
村岡と共に島原を抜け出し香港に流れ着いた源吉に杉本哲太
長崎出身で香港で理髪店を営む島田に殿山泰司
娼館に商売で出入りする雑貨屋にレオナルド熊
香港の自称貿易商の西山に常田富士男
在香港大日本帝国領事館領事の久光に寺田農
在マラヤ大日本帝国領事館領事の国倉に河原崎長一郎
村岡の子分になるため神戸からやって来た「こまし隊」に趙方豪
シンガポールの女衒の熊に石井光三
年増娼婦のオツノに神田紅
新入り娼婦でのちに村岡の妻になるキノに熊谷真美
満州在住のロシア人の妾で島原出身のトメに池波志乃

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野川新栄

3.0すり替えてくるテクニックはさすがとしか言いようがない

2021年7月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

今村昌平監督の実力の程はようくわかった
海外ロケの効果は高い
よくぞものすごい映画を撮ったものだと感嘆した

だがそれだけだ
一体何をいいたいのか
戦前を全否定するための題材を選んで、終盤に軍靴の響きを映像化したかっただけではないのか

それ故に、生理的に拒絶反応を起こさせるように、女性の人身売買を執拗にリアルに描いてみせるのだ
「サンダカン八番娼館」を思いださせ、その嫌悪感をさらに増幅させるためだ

その狙いは主人公を通じて戦前の政治体制と映像的に結びつけて、その嫌悪感を戦前の日本の政治体制へとすり替えることだ
そのテクニックは見事で、さすがとしか言いようがない
手品のように入れ替わっている
手口は「豚と軍艦」、「にっぽん昆虫記」とおなじだ

で、それで?
何がいいたいの?
何がメッセージなの?

戦前の日本をディスりたい
全否定したい

それだけではなかったのか
それだけの映画ではないのか

がっかりだ
今村昌平監督こそ、女性の性を政治利用しているのだ

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あき240

4.0レビュー一番乗り‼笑

2021年3月10日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

難しい

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yolanda
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