スリランカの愛と別れ

劇場公開日:

解説

スリランカを舞台に展開する様々な四つの愛のドラマを描いた恋愛映画。原作・脚本・監督は「なつかしき笛や太鼓」の木下恵介、撮影は「デルス・ウザーラ」の中井朝一がそれぞれ担当。

1976年製作/116分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1976年5月29日

ストーリー

インド洋上に点在する千五百の島々からなるマルティブ共和国に、洋南水産社員の越智竹人、篤和次郎、橋本末男の三人が、新工場設立のため日本から派遣されて来ていた。責任者の越智は、島から飛行機で数時間のスリランカ共和国の首都コロンボに、会社の連絡のため往来することが多かった。英国風の建物、裸足の黒い人間たち、美しい色彩の街コロンボ。ここには越智が尊敬する松永夫妻がいる。国連に勤務する松永は、日本から来る若者たちを家族同様に面倒を見ていた。ある日、越智は松永の紹介で、単身日本から宝石の買付に来ている井上慶子を知った。日本に別居中の妻子がいる越智と、何か暗い過去を背負って生きている慶子だが、互いの淋しさの中に次第に好意を抱くのだった。そんなある日、越智は慶子の紹介で、日本人ともインド人ともつかないジャカランタ老夫人を知った。二人がコロンボから二〇〇キロ離れたヌワラエリアの夫人の別荘を訪問した時、波乱に満ちた夫人の過去を聞いた。それは、莫大な富に支えられ、二十五年間も夫人に仕えた老僕のローハンと共に、静かに余生を過す現在の夫人からは想像もつかない激しい愛のドラマだった。越智が島に帰った時、部下の篤から、現地娘ライラとの恋をうちあけられた。宗教や習慣の違いを心配した越智の説得も、二人の激しい愛の前に空しく消え、二人は結婚した。その頃、松永夫妻と景勝地シギリヤを訪れた慶子は、華やかな宝石の陰に隠され忘れ去ろうとしていた、大きな誤まちに気づいた。それは、真剣に、一生懸命生きる、幸福を手に入れるように努力する、ということだった。このことは、手紙で越智に送られて来た。文面から子供のようにはしゃぐ慶子の姿が目に浮かぶ。教日後、二人がコロンボで再会した時、互いの恋を確認しあうのだった。慢性の胃病で寝たり起きたりしているジャカランタ夫人は、ある日、松永を邸宅に招き、自分の財産をスリランカ政府に寄贈することを申し出た。その頃、慶子は宝石業者から意外な話を聞かされた。夫人の夫のマハバリは病死ではなく、祭りに行ったまま行方不明になったのであり、同じ日に、夫人が可愛がっていた一人の青年が何者かに殺された、というのである。夫人は再び越智と慶子を呼び、自分は癌でながくない命であること、日本にいる子供に電話をかけたが、冷たい返事しか返ってこなかったこと、などを話した。そして、夫人は、自分の愛の歴史を秘めたダイヤの指輪をはずし、息子のかわりに受け取ってほしい、と越智にさしだすのだった。ローハンが越智を送る途中、夫人が死んだら自分も死ぬ、と切り出し、夫人の可愛がっていた青年を主人のマハバリが殺したので、自分が夫人にかわって主人を殺したのだ、と打ち明けた。満月の夜、夫人は六十年の間、思いのままに生きて来たものの、今は何も残らなかったことに終止符をうつかのように、ローハンの拳銃に撃たれて死んだ。そしてローハンも夫人の後を追って自害した。スリランカの海から国の幸せを祈りつつ、皆の記憶の中から消えて一人波間に漂いたい、と言う夫人の遺言通り、コロンボの見える海に、松永夫妻と越智の手によって遺骨は捨てられた。陸で待つ慶子の指には、あのダイヤがあった……。

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