砂の器のレビュー・感想・評価
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松本清張作品、初めて。
有名なので、松本清張の存在は知っていたけど、わたしはたぶん今回が初めて。
ハンセン病の事とか、時代背景が今と違いすぎて面白い。戸籍のこととか地名を調べるのにめちゃくちゃ苦労するトコとか、色々今じゃ考えられない。
名作で、何度もドラマ化されて擦り倒されている小説だって事も初めて知った。
丹波哲郎がちゃんと演技してるのも初めて観た気がする。
色んな意味で面白かった。
科学的論拠のない差別
1941年にアメリカで特効薬開発
1996年日本、らい予防法廃止
砂の器
連載1960年
映画1974年
まったくお役所仕事、国会議員の認識不足
松本清張の原作は昔読んでいたが、映画は初鑑賞。140分によくまとめ...
松本清張の原作は昔読んでいたが、映画は初鑑賞。140分によくまとめ上げられた巧みな脚本、情感溢れる映像と日本の原風景。ラストのピアノとオーケストラの演奏、捜査会議、犯人の回想シーンのモンタージュは原作の松本清張も評価するほど圧巻。日本映画としていろいろな意味で文化的価値のある作品だと思う。
当時の時代背景ほかを知らないとやや解釈が難しい
今年38本目(合計1,130本目/今月(2024年1月度)38本目)。
(ひとつ前の作品は「ゴジラ-1.0/C」、次の作品は「燈火(ネオン)は消えず」)
ミニシアターで、当該監督さんの特集がありその一環でみてきました。
原作小説や元の(リマスター前の)映画があるので、それを超えることはできないかな、といったところです。
戸籍うんぬんについては、やや行政書士の資格持ちの立場からは微妙なところがあるのですが、戦後の混乱期においてこのような行為が行われていたということは容易に推知・推測が付く範囲だし、それほど突飛な設定ではないかな、といったところです。また、映画が古いためややハンセン病ほかいわゆる「病気」の差別についての配慮がない点については、2023~2024年で「復刻上映で見るという観点では」気にはなりましたが(断り書きなどはなし)、まぁそれも許容範囲の一つなのだろうと思います。
ミステリーものとして見る場合、時代背景がいまから70年前といった事情や法律の取締り(特に戸籍関係)という違いもあるため、やや「当てにくいかな」という部分はあります(それらしい発言からある程度推測はできますが)。ただその分、この映画はそういった事情よりも戦後間もない時代に取られた映画で戦後の混乱期にどのような混乱が生じていたのかという点を含むところに鑑賞意義(知識を吸収する意義)があると思います。
採点上特に気になる点はないのでフルスコア切り上げにしています。
なお、VODなどでは最初の30秒くらいは見られるしVODでも見られるようなので(ただしリマスター版ではないらしい)、放映されている映画館の少なさという観点ではVODもやむなしかなというところです。
名作。
鑑賞直後、言葉が何とも出て来ず…なんと言えばいいか…とにかく、ただ咽び泣き。
原作は未読。まず、映像が美しい。日本の四季があまりにも瑞々しく美しく、そのせいで余計悲しい。自然がこんなに美しく撮れていなければ、多分ここまで苦しくない。東北やら出雲やらムード満点。原作は松本清張だが、あまりトリックやロジックに重点は置かず、あくまでハンセン病への差別や親子の宿命に焦点を合わせた作品にしている。
すごく良いなと思ったのが、加藤剛演じるヒデオがどんな気持ちだったかについて、本人の口からはほぼ何も語られないところ。刑事や当時を知る人々が境遇を色々語るシーンはあるが、あとは映像を見ながら、彼の音楽を聴きながら、鑑賞者がひたすら想像する作品になっている。日本的だなーと思うし、そのおかげでペラい感じにならずに済んでいる。最後、捕まるシーンも無く、加賀英良が事件について語ることも一切無い。つい語らせたくなっちゃうものだけど、これでもかと泣きのシーンが畳みかけるので、更に語られたら野暮ったさ200%だったと思う。
子どもの頃、実家では頻繁に映画が流れていたので目にはしていたし、タイトルもあらすじも何となく知っていたけど、自分が大人になって結婚して子を持ち、今になって改めて鑑賞すると、ほんとに言葉では言い表せない感情になり、また観たいかと言われるとなんか複雑、でもきっと何年かしたら見ちゃう。そういう類の映画だと思う。
緒方拳の真っ白い制服姿が目に沁みる。
これ、三木が悪いんじゃないよね。親子にしか分からない気持ちがあるのに土足でズカズカ入るから、正義感振りかざして余計なことするから…じゃなくて根底にあるのはハンセン病への差別よね。
ノスタルジアを喚起する悲劇のシーンの数々
日本では社会批判を良しとする文学観が長く続き、太宰治は芥川賞を獲れなかったし、村上春樹も芥川賞選考委員から蹴られた。その代わりに、今や読者が限られてきた社会派の石川達三や松本清張が芥川賞を獲っていた。
その松本の代表作の映画化が本作らしい。小生は『点と線』くらいしか読んでいないので知らなかったが、内容は完全な社会批判である。
日本では「ライ病」ないしは「ハンセン病」と呼ばれる皮膚病に対する隔離政策が1931年から取られたが、後日、その措置が適切だったかどうかの議論が起こっていく。
病気による差別と、それに起因した親子をはじめとする人間関係の悲劇を描くことによって、社会の是正を訴える――本映画はそんなテーマだったのだろう。
ハンセン病は現在、治癒できるとされており、らい予防法は1996年に廃止された。ハンセン病政策の転換遅れの責任を追及する国賠訴訟も提起され、2001年に元患者側の勝訴が確定している。
そうした時代の変遷を経て、現在、本映画を観るに「ああ、昔は大変だったんだろう」という感慨は湧いてくるのだが、それ以上の感情はちょっと持ちようがないというのが正直なところだ。社会批判をテーマとする作品は、社会的問題が変われば存在意義がなくなる。そんな印象を否定できない。
…いや、ちょっと違うのではないか。本作にはそれだけで片付けてしまえないものがある。
例えば、丹波哲郎をはじめとする昭和の名優たちの演技の見事さ、彼らが動き回る舞台のリアルさはどうだ。昭和の暑苦しい夏に汗を拭きながら歩き回る刑事たちの姿はどうだ、緑濃い山村の景色はどうだ。一か所に定住できず裏日本の海岸伝いにさ迷い歩くライ病の父子の哀れな放浪生活はどうだ…。
そうしたノスタルジアを喚起する諸々のシーンが、今や葬り去られた悲劇の代わりに浮上してくるのである。監督はひょっとしたら、こうした時代の変遷を見越して、古き良き昭和を映像に定着させたのではないか、とさえ思われる。見事としか言いようがない。
芥川也寸志さん
ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲」を聴いて、久しぶりに「砂の器」の音楽を聴きたくなり、録画済みの本編の捜査会議場面から見始めました。
封切り当時、映画館で観て、その後 何度も何度も観てきた映画なのに、今回初めて気付いたことがありました。
ご存知の方には「今さら」の話題かと思いますが、最後の演奏会が始まる直前の楽屋の控室の場面に、なんと音楽監督の芥川也寸志さんが登場しているではありませんか!
打ち合わせテーブルの端に座って、ほんの数秒間ですが、一瞬カメラに顔を向けられます。
私の母校の校歌を作曲してくださった方なので、以前から勝手に親近感を持っていましたが、こんなところでお目にかかるとは…。
改めて驚きました。
カメダ‼️
野村芳太郎監督の松本清張原作の映画化としては「ゼロの焦点」「鬼畜」「疑惑」みたいな秀作がありますが、「張込み」と並ぶ最高作ではないでしょうか⁉️ただこの作品に関しては、山田洋次と橋本忍による脚本の力がかなり大きい‼️私は原作は未読なんですが、原作ではわずか数行の描写である、ハンセン病の親子の遍路の放浪の道行きが津軽、信州、北陸、山陰の美しく厳しい日本全国の四季の風物と共に映し出されるのがこの作品のハイライト‼️しかも捜査会議と大演奏会を合わせた三部構成にし、そこに重なる交響曲「宿命」の旋律が美しすぎて、ホント鳥肌モノです‼️津軽の寂れた浜辺で、打ち寄せる波が、宿命として親子二人にもおおいかぶさってくる‼️スゴいですよね‼️血のついた服をバラバラに刻んで、電車の窓からバラまく美しいシーンも印象に残ってますね‼️あと出演者に関しては、加藤嘉さん‼️私はこの人は生理的に苦手なんですが、「わしゃあ、知らん」と言い切った時の演技は切なすぎる名演でした‼️とにかく、この作品は、市川崑監督の「悪魔の手毬唄」と並ぶ日本ミステリー映画の二大至宝‼️多くの方々に観ていただきたいですね‼️
エネルギッシュな昭和の風情とその影の魅力
先日羽後亀田を訪れ、中学の頃父とDVDを見たのを思い出してAmazonプライムでレンタル視聴した。デジタルリマスター版の配信は嬉しい。
日本のさまざまな地域の鉄道の風景、田舎の様子を一本で味わえる、映像作品としてもとっても魅力的な作品だと思う。喫茶店で溶けたアイスクリームを啜るところが特に好きだ。
中学の頃見た時は、千代吉が会いたがっていた秀夫の写真を見て涙しつつも知らないと語った姿に、なにか感じるものはありつつも理解できなかった。
今回、多少成長してから視聴して、感想が大きく変わったので記しておきたい。
二人で過酷な旅をする中差別を受けた二人だけの共有する思いがあること、立派に大成した風の息子を病人の父がいるということで足を引っ張りたくない父心のようなもの、会いたいけれど会いたくない、そんな思いなのかもしれないと感じた。
三木はまごうことなき善人だけれど、良い人であるが故に、会いたいけれど会っては行けない、会いたいけれど会うわけにはいかないと心の奥底で理解してしまっている両者を会わせようとしてしまった。
元は決して悪い人ではないはずの三者が、被差別という体験を経て喜びの再会にすら萎縮し、善意に殺意を返してしまう差別のひっそりとした恐ろしさ。やるせない涙してしまう人間ドラマの根底に這わせられている、差別がなぜいけないか、それが解消された後も、人は生きていくという事実に行き当たったような感じがした。
また、ジェンダーなど、多少なりとも男性・女性間の認識のギャップや、父・母といった役割に意識を向けるようになった現代からみると、辛い経験のあるはずの秀夫もまた理恵子をその経験故か加害してしまう姿に、鋭い批判を感じた。男性から女性、あるいは子から母へ向かう無理解さ、経験の無さが秀夫の加害の根源とも思うが完全に善良な人も、完全に被害者の人も、完全に加害者の人も、この世にいないのだと肝に銘じたい。
また歳をとってから見返したい作品。
宿命とは
この世に生まれて来たことと、
生きているということである。
脚本が素晴らしいときいていたが、
本当に素晴らしい映画だった。
前半の字幕での説明と
後半の宿命の演奏の間に父子の旅を映像で見せる対比。
涙なしでは見られない。
映画とはこういうもん!
警察官の捜査としては現在(2015年)から観れば
少々ゆるい所もあるのですが、そういう自由のあった時代の作品。
全く関係無く見えている複数のものが
やがて1つに集約されて行くのは
サスペンスやミステリーの醍醐味なのですが
それが、海外では無く日本の原風景の中で展開してゆく
この映画の映像の美しさは記録映画としても価値あるものでしょう。
昭和の名優達のほんのワンカットの出演シーンも
あら!こんな所にこんな人が!と言う見つける楽しさあり
長い物語の中に引き込む力がやっぱ半端無いと言うか
まさに映画とはこういうもん!と言って遜色無い作品です。
実のところ、音楽の才能は、この映画の様な
簡単なもんじゃ無いな〜〜と
思うところもあるのですが、
そこは映画として勘弁して下さい。
一番大事なのは、
この作品の悲劇の元は形を変えて今でも残っているし
無知と貧困の残酷さは今の方が大きいかもしれません。
時代を超えて、人々に突きつけられる課題だと思いますわ。
こんな人知らねーよ…
父は立派に育った息子を知らないと言った。。唯一会うことだけを糧に生きてきたのに。。昔ドラマを見たことがあったのでストーリーはわかっていたが、映画初鑑賞。ストーリーは元より構成、カメラワーク、役者陣全てが素晴らしい。全編通して、まさに足で稼ぐ今西刑事。事件の全容、悲劇を知り、他の刑事に話す目に涙、良かった。和賀が弾く曲と共に振り返る親子の旅のシーンは言葉は無くとも伝わってくる。逮捕後、全てから解放された和賀が収監前にひと時でも父に会ってほしいと思ってしまう。
父と子がたどった壮絶な運命には心を動かされた。 ただ、それまでに手...
父と子がたどった壮絶な運命には心を動かされた。
ただ、それまでに手がかりがほとんどない雲をつかむような捜査が延々と続くのは長く感じた。
そもそも加藤剛はなぜ恩人である緒方拳を殺害したのか、動機が今一つだった。
また、加藤の犯行の証拠を「浮気相手」が列車の窓から捨てるとか、サスペンスとしては考えられない。
やっとみれた、もっと早くみたかった。
一言「昭和スター勢揃い!」。
出演者が誰か知らずにみて、もうびっくりの連続。みんな若い!。
国鉄蒲田駅で起こった殺人事件。亡くなる前に犯人と話した東北弁の「カメダ」。
手がかりがなく、捜査本部は解散し継続捜査にランク落ち。
そこをひとつひとつ、今西刑事(丹波さん)が捜査していき。
各地に散らばる点を、一つにつなげていくところ。
ちょっと鉄道物のテイストも、前半あったのもアクセント。
終盤犯人の子供の頃の話、そしてどうやって生き延びていったか。
壮大な音楽にのせて、ほぼ台詞なしの30分ちょっとで描かれる。
その曲が「宿命」というのも、切ない。ちょっと泣けた。
戦後の混乱期の話等歴史的にも、観てほしい。
ドラマ化4作あるそうですが、どうかな。
⭐️今日のマーカーワード⭐️
「幸せなんてない。だからみんな影を追っている」
ALLTIME BESTでない理由が分からない
殺人事件を捜査する刑事が辿り着く、犯人の苦難の人生を描く物語。
日本映画史に残る名作ですね。このサイトのレビューでも、「5」を付ける方が多くいらっしゃいましたが、そのレビューに相応しい作品だと私も思います。
「ハンセン病患者への偏見」。日本の歴史に暗い影を落とす現実をベースに、「親子愛」と「善から生まれる犯罪」を描きます。
極めてシリアスな社会派サスペンス。それに合わせて、演出も重厚そのもの。特に中盤までの捜査シーンは、BGMは一切なし。酷暑の中、淡々と地道に捜査する刑事達を活写。極めて私好みの展開となりました。
その物語を担う俳優陣も、丹波哲郎を筆頭に実力者揃い。
見応えのある作品に仕上がりました。
それでも、評価は4。
評価を下げた理由の一つは、終盤の回想シーン。他の方のレビューでは賛否分かれているようですが、私は少しやり過ぎに感じました。
もう一つはサスペンスとしては、粗が多いこと。特に刑事達の「気付き」の部分が雑で、サスペンスとしては微妙に感じてしまいました。
少し、蛇足。病気等への偏見を題材にした作品として、個人的に好きな作品があります。逝去された西村京太郎氏の作品で「天使の傷痕」という作品です。映像化はされていませんので読むしかない作品なのですが、暇と機会がありましたらぜひ。
言うまでもなく日本映画の金字塔
この映画を見るのは何回目だろう?少なくとも4回、もしくは明らかにそれ以上みている。しかも何度見ても新しい発見があるこの作品はやはり古典的名作と素直に評価して良い。今回は古典的ロードムービーとしての観点から見直してみた。既に観光地として定着した感のある場所と同時に今でも中々余程でなければいく機会のない場所を実名と架空で絡めて、想像の幅を広げる手法は見事である。そして言うまでもなくそのテーマは今も脈々と繋がってきており、その根の深さを改めて浮き彫りにする。今日では名作🎦あんへも通じるテーマである。未見の方にはぜひ一度ご覧いただきたい名作のひとつである。
音楽と放浪の日々の描写が無ければ
戦前、戦後をまたぎその問題点をミステリーとして描いた松本清張の代表作。
やっぱりいろいろ謎は残る。
そもそもなんで犯人の愛人は殺人の証拠の衣服をいちいち中央線の車窓からばらまくなんていう人目につくことをしたのか?これが謎(まあそうしないと話にならんのだけども)。
後は他の方もレビューに書いていたけれど、主人公の殺人に対する葛藤は描いて欲しかった所。
突っ込み所はあるものの、芥川也寸志が手掛けた楽曲と病人の父と子が寄り添って辿る旅路の映像は素晴らしく、胸に迫るものがある。
逆にこれが無ければ見所が少ない映画であったかもしれない。
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