尻啖え孫市

劇場公開日:

解説

司馬遼太郎の原作を、「あゝ海軍」の菊島隆三が脚色し、「鬼の棲む館」のコンビ、三隅研次と宮川一夫が、監督、撮影を担当した時代劇。

1969年製作/104分/日本
原題:The Magoichi Saga
配給:大映
劇場公開日:1969年9月13日

ストーリー

元亀元年の二月、織田信長の城下町に、見慣れぬ男が現われた。紀州雑賀衆の頭目・雑賀孫市であった。雑賀衆は、三千人からなる日本最強の鉄砲集団で、戦国の大名たちに恐れられている庸兵の一団である。信長は不審に思って、藤吉郎に尋ねたが、藤吉郎にも見当がつかなかった。藤吉郎の妻寧々が探ってみると、彼が先年京で見染めた、足首の美しい女が信長の妹君と知り、ここまで追ってきたのだった。藤吉郎は、信長と計って、織田一族の娘・加乃を“素足の女”に仕上げることにした。その年の春、信長は、越前の朝倉義景を攻めた。孫市は、姫のいる京に近いことと、雑賀衆の値を釣り上げるよい機会と、わずか五人の手兵を連れて一軍に加わった。そして、得意の銃撃戦で、たった半刻のうちに落城させて、信長に鉄砲の威力をまざまざと見せて、舌をまかせた。だが背後の浅井長政が寝返ったため、信長は、藤吉郎に後を託して、京へ引揚げた。藤吉郎は、孫市にも退くよう説いたが、城に留まって、朝倉の追撃隊を散々にけ散らして信長の後を追った。京へ帰った孫市は、偶然の事から姫が偽者だと知り、藤吉郎をなじって、信長・藤吉郎と別れた。紀伊へ戻った孫市を待っていたのは、大阪名山本願寺の僧・法専坊信照だった。近く予想される信長の本願寺攻めに対抗して力を貸して欲しいという。孫市は、反信長軍の総大将にと聞いて心が動いたが、その時はニベもなく断わった。やがて、孫市は、戦いの近いのを知って鉄砲を買いに、堺へ出かけた。そして、鉄砲鍛冶・芝村仙斎の所で、あの“素足の女”小みちに出会った。小みちは、信照の妹で、本願寺信徒であった。さすがの孫市も、小みちに総大将にと強く頼まれては、無下に断わることもできなかった。束縛されることの嫌いな孫市も、小みちのためになら、戦ってもよいと思った。元亀二年九月、孫市は五千人の手兵を連れて本願寺に入った。そして、信長の死まで、実に八年間も、終りのない戦いがくりひろげられることになった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0錦之助=勝新。夢のタッグ

2015年3月24日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

興奮

東映時代劇の大スター中村錦之助と、大映時代劇の大スター勝新太郎夢の組み合わせ。

天才的な戦術を誇るが、豪放磊落にしてへそ曲がり。鉄砲隊長の雑賀孫市に中村錦之助。
織田信長には勝新太郎。
木下藤吉郎に中村嘉葎雄。

本来ならば、織田信長を得意中の得意にしていた錦之助が、織田信長に扮し、寧ろ「天下取りよりも銭よ!」と、自分の価値を引き上げるキャラクターの孫市こそ、そんな演技を得意の勝新太郎には相応しいところ。
ここは、大映の大スター勝新太郎が、錦之助に主役として華を持たせた様な雰囲気を感じますね。
孫市が惚れ込む木下藤吉郎のキャラクター。演じているのが、錦之助の実の弟の中村嘉葎雄だから…って言うのが大きいのかも知れないが。

監督の三隅研次は、スタイリッシュな作風が持ち味なのですが、この作品では城からの脱出場面等を観れば分かる通り、ダイナミックな演出で観客をグイグイと引っ張って行く。

惚れた女の(それも脚だけを)為に…。そのキャラクターたるや強烈で、まさに娯楽映画の王道の面白さ…だったのですが。
騙し騙され…と、自分が良い様に利用されていたと知ると、途端に寝返る終盤になると、段々に作品本来の面白さを失って行く感じだったのが惜しまれる。

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