さびしんぼう

劇場公開日:

解説

尾道を舞台に、少年の淡い恋、彼の前に突然現われた少女時代の母親“さびしんぼう”と少年との交流を描いたファンタジー。山中恒原作の「なんだかへんて子」の映画化で、脚本は「天国にいちばん近い島」の剣持亘、内藤忠司、大林宣彦の共同執筆。監督は「天国にいちばん近い島」の大林宣彦、撮影は同作の阪本善尚がそれぞれ担当。

1985年製作/112分/日本
原題:Miss Lonley
配給:東宝
劇場公開日:1985年4月13日

ストーリー

寺の住職の一人息子・井上ヒロキは、カメラの好きな高校二年生。母タツ子は、彼に勉強しろ、ピアノを練習しろといつも小言を言う。ヒロキのあこがれのマドンナは、放課後、隣の女子校で「別れの曲」をピアノで弾いている橘百合子である。彼は望遠レンズから、彼女を見つめ、さびしげな横顔から“さびしんぼう”と名付けていた。寺の本堂の大掃除の日、ヒロキは手伝いに来た友人の田川マコト、久保カズオと共にタツ子の少女時代の写真をばらまいてしまった。その日から、ヒロキの前に、ダブダブの服にピエロのような顔をした女の子が現われるようになる。彼女は“さびしんぼう”と名乗り、ヒロキと同じ高校二年生だという。ヒロキ、マコト、カズオの三人は、校長室のオウムに悪い言葉を教え停学処分を受けた。その際中、ヒロキは自転車に乗った百合子を追いかけ、彼女が船で尾道に通って来ていることを知る。冬休みになり、クラスメイトの木鳥マスコが訪ねて来た。そこに例のさびしんほうが現われ、タツ子に文句を言いだす。そして、タツ子が彼女を打つと何故かタツ子が痛がるのだった。お正月、タツ子の高校時代の友人・雨野テルエとその娘・ユキミが訪ねてきた時もさびしんぼうが現われ、高校時代のテルエの悪口を言いだし、タツ子も加わって大喧嘩となる。節分の日、ヒロキは自転車のチェーンをなおしている百合子を見かけ、彼女の住む町まで送って行った。自分のことを知っていたと言われ、ヒロキは幸福な気分で帰宅した。バレンタインデーの日、さびしんぼうが玄関に置いてあったとチョコレートを持って来た。それは百合子からで、「この間は嬉しかった。でもこれきりにして下さい」と手紙が添えてあった。さびしんぼうは、明日が自分の誕生日だからお別れだと告げる。そして、この恰好は恋して失恋した女の子の創作劇だと答えた。翌日、思いあまってヒロキは、百合子の住んでる町を訪ね、彼女に別れの曲のオルゴールをプレゼントした。雨の中、家にもどったヒロキをさびしんぼうが待っていた。彼は濡れた彼女を抱きよせる。気がつくとさびしんぼうは消えていた。翌朝、タツ子が道におちていた自分の16歳の時の写真を発見した。ヒロキがのぞくとそれはあのさびしんぼうだった。そして、数年後、寺を継いだヒロキの隣には百合子がいた。

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映画レビュー

4.0この頃はJAZZばかり聞いていた

2022年12月6日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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マサシ

5.0「転校生」「時をかける少女」

Mさん
2022年10月2日
Androidアプリから投稿

と並んで尾道三部作と言われているらしい。私は「転校生」がとても好きで、同じ感動を期待して、この「さびしんぼう」を見に行った。
「アイコ16歳」でデビューした富田靖子さんが初々しかった記憶がある。
久しぶりに見返してみたいと思いつつ、なかなか見返すことができないでいる。

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M

4.0【”永遠に連鎖する真実の恋”思春期特有のときめきやロマンチシズムを仄かな郷愁とともに描いた作品。”さびしんぼう”を始め、四役をこなした富田靖子さんの魅力にヤラレル作品でもある。】

2022年4月28日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 写真が趣味の高校生・ヒロキ(尾美としのり)は、憧れの美少女・百合子(富田靖子:不老の人である。今でも美しさは変わらない。)をレンズ越しに見つめ、「さびしんぼう」と呼んでいた。
  ある日、実家の寺の本堂を掃除していた彼は、母(藤田弓子)の古い写真をばらまいてしまう。するとその日から、ピエロのような格好をした謎の少女(富田靖子:4役)が現れて…。ー

◆感想

 ・ある日突然、ヒロキの前に現れたピエロのような格好をした謎の美少女は”いったい誰?”と言う疑問を見る側に抱かせつつ、”健全な”高校生活を送るヒロキを軸に物語は進む。

 ・ヒロキの父(小林稔侍)は僧侶で、ヒロキのナレーションによると、”何を考えているか分からない・・”と呟かれるが、ヒロキと無理やり風呂に入るワンシーンで父の善性が分かる。
 そして、母の事を愛していることも。

 ・ヒロキの母も”勉強しろ”と口煩い、とヒロキのナレーションでは語られるが、母が如何にヒロキを大切にしているかが良く分かる。

 ・憧れの美少女・百合子とヒロキの関係性も何だか切ない。
 - ”私の側面だけを観ていて・・。”貧しき私生活を知られたくない百合子の乙女心・・。-

 ・今作が、何より魅力を放っているのは永遠の16歳である、ヒロシが新たに”さびしんぼう”と名付けた白塗りの表情でピエロのような格好をした謎の少女を演じた、富田靖子の百合子役の抑制した演技とは違うお茶目で可愛らしい演技である。

 ■白眉のシーンは水に塗れると”死んでしまう・・”と言う”さびしんぼう”が、百合子に会いに行ったヒロキを雨の降る寺の階段で待っているシーンであろう。
  ヒロキは彼女に優しく上着を掛け、”さびしんぼう”はヒロキの肩に顔を埋める・・。

<全編に流れる、ショパンの「別れの曲」が意味する事。
 それは、大人になり僧侶になったヒロキの脇に座る女性(富田靖子)の姿と二人の子供であろう女の子(富田靖子)がピアノで弾くショパンの「別れの曲」を聞けば、分かるのである。
 今更ながらではあるが、佳き作品である。>

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NOBU

4.0美しい物語でした

2022年4月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

とても雰囲気ありました。
秀作ですね。凄く良かったです。

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tuna
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