狂った野獣(1976)

劇場公開日:

解説

二人の凶悪犯に乗っ取られたバスに乗りあわした、乗客たちのパニック状況を描いたサスペンス映画。脚本は「トルコ(秘)最前線 密技96手」の大原清秀と「好色元禄(秘)物語」の関本郁夫、監督は脚本も執筆している「実録外伝 大阪電撃作戦」の中島貞夫、撮影は「くノ一忍法 観音開き」の塚越堅二がそれぞれ担当。

1976年製作/78分/日本
配給:東映
劇場公開日:1976年5月15日

ストーリー

テストドライバーの速水は、テスト中に事故を起こし会社をクビになってしまう。数日後、速水は友人の女性ドライバーの岩崎美代子を誘い、大阪の宝石店を襲い数千万円相当の宝石強奪に成功、警察の追手をくらますために別々に逃亡した。速水は宝石を持って府営バスに乗り込み、逃走は完全に成功したかのように思われた……。ところが、そのバスに、銀行強盗に失敗して警察に追われている谷村と桐野が乗り込み、バスを占拠してしまったのだ。愕然とする速水、バスの運転手で心筋梗塞を患う官本、そして乗客たち--駆け出し女優の立花かおる、主婦の戸田政江、ホステスの小林ハルミ、大工の西勲、小学校教師の松原啓一、その松原の教え子で彼と浮気を続ける河原文子、チンドン屋の極楽一郎、良子、達たち、無職の老人・半田市次郎、塾に通う小学生の加藤と田中、総勢13名である。谷村、桐野は乗客を人質にしたため、恐怖を感じた乗客たちは徐々にエゴをむき出し、車内のパニック状態はエスカレートしていく。やがて、速水は隙を見て脱出を試みるが、逆に宝石泥棒であることを見破られてしまう。警察は各国道沿に非常線を張るが、バスは次々と非常線を突破し、その後をパトカー、白バイが追った。一方、速水の乗ったバスがバスジャックされたと知った美代子も、オートバイでバスを追走した。やがてバスの運転手の宮本は持病の心筋梗塞で倒れたため、速水が運転することになったが、緊張のために眼は徐々にかすんでいった……。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

2.5失速しちゃった

2023年6月16日
PCから投稿

渡瀬恒彦の雰囲気とか、こいつは何者だというワクワク感とか、それが誰かわかった時とか・・その辺まではまあまあ面白かった。だけど、犯人の動機とかバス内でやってることはちょっと 希薄すぎて・・持たなかった感じがした。こういう ネタのセオリー通り、どこかに黒幕がいて、そいつに迫っていくとか、その黒幕の動機とか・・何か入れてかないと・・と思って調べてみたら これは「新幹線大爆破」の翌年の作品だった。 2番煎じだったのね。 もしかしたら この時代には上述ようなハイジャック ものの セオリー がなく、それをやると まるっきりマネになってしまうのでできなかったのかもしれない。 キアヌリーブスの「スピード」 はずいぶん 後でできた話だからもうその頃には使えたのであろう。 そう考えると やっぱり 新幹線大爆破 すげえと思った。 最も 新幹線大爆破も 黒沢の「暴走機関車」にそっくりなんだけどね。ただ、 暴走機関車には黒幕はいない。どの名作も過去の名作から少しずついただいて 面白くなっていくんだよな。
話をもどすと・・・80分もない短い映画だったけど途中から見る気をなくすぐらい 退屈になった。どうせB級映画 ならもっと お色気シーンをいっぱい入れて欲しかった。

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タンバラライ

3.5ひでーなと呆れつつ、でもなんか面白い なんか凄い、気がつけば引き込まれている そういう映画です

2021年10月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

なんじゃこりゃ!
まさにB級アクション映画の珍品

「狂った野獣」というタイトルではどんな映画かさっぱり分からない
ワンマンで知られる東映の岡田茂社長がそう決めたという
準備稿段階の「激突!バス・パニック」の方が、ずっと内容が分かりやすい

京都を舞台にしたバスジャックの映画
市内をアチコチ本当に走り回るから、京都に土地勘があれば一層楽しめる

ただしクライマックスは滋賀県堅田市の、2001年に閉園したびわ湖タワー遊園地
なのでラストシーンで、渡瀬恒彦の主人公とその彼女が泳ぎだすのは琵琶湖西岸の湖水だ
一体あのシーンに何の意味が有るのだろう?
だから「狂った野獣」なのかも知れない

1976年公開
バスが銃弾で蜂の巣になる「ガントレット」は1977年
二階建てバスでのアクションが有名な「ポリス・ストーリー/香港国際警察」は1985年
ノンストップのバスの「スピード」は1994年
だから本作は圧倒的に早い
1979年から放映開始された「西部警察」には影響を与えているのかも知れない

京都でバス運転手が運転中に意識不明になり、バスが横転した事故をヒントにしたそうだから、完全にオリジナルなアイデアだ

荒削り、むちゃくちゃ
細けぇこたぁいいんだよ!
B 級アクション映画は勢いだよ!アニキ!

ひでーなと呆れつつ、でもなんか面白い
なんか凄い、気がつけば引き込まれている
そういう映画です

興行スケジュールに穴が空きそうになったので、急遽無茶な低予算で超短期間で何か撮れと言われとか

その割になかなかの迫力とスケール感を出しているのが凄い
二重にバスジャックされるのは面白い着想だ

主人公の彼女役の星野じゅんは、スタイルも良く顔もそこそ
ジーンズに革ジャンでナナハンの大型バイクを乗り回すのは、映画的な絵になっていてかなり良いのだが、演技も台詞もダメダメ
彼女が一人前に演技ができたなら、脚本ももっと彼女を活躍するようなものにできていたはず
渡瀬恒彦を喰ってしまうような、存在感を示せていたなら傑作になっていただろう
残念で仕方ない

カルト映画を観たという少しの満足はある
三上博が登場して歌うものまたカルトだ
DJ の女性はりりィだ!これこそカルトだ
「私は泣いています」は1974年のヒットだった

2000年に起きた西鉄バスジャック事件の未成年の犯人ネオ麦茶は、本作を観ていたのだろうか?
そんなことがある訳無い
こんな映画があることも彼は知らなかったろう
なにしろ彼の生まれる前のカルト映画なのだ

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あき240

2.5京都でバスジャック

2021年1月20日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

京都で銀行強盗に失敗した犯人二人が逃げる途中、路線バスに乗り込みバスジャックする。
このバスに乗り合わせたのが宝石強盗犯(渡瀬恒彦)で、高飛びしようとしていた。
中盤までは面白いのだが、終盤は同じようなシーンが続き、ダラダラ感が強い。

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いやよセブン

4.0日本映画も凄かった!

2020年6月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 バスの乗客は老若男女10数名。ヴァイオリンケースを大事そうに抱えた寡黙な男、ホステス風、ちんどん屋、不倫カップルなど様々だった。乗っ取られて15分後には警察も動きだすが、バスがどこにいるのかさっぱりわからない。おまけにバス会社に問い合わせると、運転手は病気もちで、極度に緊張すると心臓発作を起こすと言う・・・

 これぞハリウッドの『スピード』の原型!ノンストップ・カーアクションで楽しませてくれる。パニック映画とも取れるが、乗客のエゴイズムが剥きだしになるところが面白いところで、中盤、速水(渡瀬)がバスから降りることが出来るのだが、ヴァイオリンケースはバスの中に置いてしまった。そこで自転車を盗み、途中から元同僚の岩崎(星野)の単車に乗せてもらい、再びバスに戻ってしまう。実は、テストドライバーだった速水は目の病気でクビになり、宝石強盗を働いていたのだ。ヴァイオリンケースの中身は盗んだ宝石。どうしても渡せないものだったが、ハイジャック犯と争ううちに中身の宝石がバス内に散乱してしまう。それを見た乗客たちは我こそがとこっそりネコババする始末。そんな折、バス運転手が発作で死亡。逃げたい速水と犯人の二人。しょうがなく、速水がバスを運転してハイジャックの続きを引き継いだのだ(笑)。

 やがて、乗っ取りの主導権が速水に移行してしまう心理展開や乗客たちの強欲さが露見し、誰も反抗しなくなるところなんて最高!

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kossy
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