女の歴史

劇場公開日:

解説

「越前竹人形」の笠原良三がオリジナル・シナリオを執筆「放浪記(1962)」の成瀬巳喜男が監督した女性ドラマ。撮影は「続雲の上団五郎一座」の安本淳。

1963年製作/126分/日本
原題:Woman's Life
配給:東宝
劇場公開日:1963年11月16日

ストーリー

東京近郊で美容院を経営する清水信子は、自動車会社のセールスマンである一人息子功平と、ささやかな家庭を営んでいた。その功平もいつの間にか信子が結婚した当時の夫と同じ年になっていた。昭和十二年春信子は、町内の材木問屋の長男と結婚した。この日から信子の女の歴史が始った。翌年の秋功平が生れた。武漢三鎮が陥落して提灯行列で賑った晩だった。一人息子は六つになったがアメリカとの大戦争はいつ果てるともなく続いた。そんな折、信子は女として初めて嫉妬に悩んだ。夫に女からの手紙があったのだ。実家に帰った信子を迎えに来た夫の手には召集令状が握られていた。信子は生れて始めて夫を激しく愛した。嫉妬することを教えてくれた人。女の喜びを呼びさましてくれた人。その夫も親友秋本に送られて華やかに戦場に出て行った。誇らしさと、不安と、哀しみが私の胸をしめっけた。戦況は益々ひどく、深川の父も母も戦火のかげに死に、功平は国民学校に入学した。暑い夏夫の戦死の公報が入った。終戦-世の中は全て変わったが、復員した夫の親友の秋本の心づかいは信子の胸にあたたかった。米のかつぎ屋に身を粉として働く貧しい信子の許に秋本が五千円の大金をもって訪れた。やさしい秋本の態度、笑顔、この人が私のものであったら、女の心の悲しさに信子は泣いた。ある日仕事の関係のある玉枝の家で、夫のかつての恋人と称する女に会った。心の支えを全て失った信子は、この日から功平だけを頼りとした。そんな信子に功平はキャバレーで働く女を残して事故死した。何んのために私は生活と戦ってきたのだろう。すきま風が吹きすさんだ。功平の子供をはらんだみどりを罵倒する信子に、女の歴史が重く。

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映画レビュー

4.0戦争を生き延びることは子を産み育てることである。

2023年2月8日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1963年。成瀬巳喜男監督。美容院を経営する女性主人公は義理の母とサラリーマンの息子の3人暮らし。息子の結婚を考えるようになるが、息子は息子でキャバレーの女と結婚するという。これまでの子育ての苦労を思い出す主人公は戦前の自身の結婚から夫の出征と戦死、戦後の苦労とそれを支えてくれた夫の親友への甘い想いを次々に想起する。現実では、息子にある出来事が起こって、、、という話。
女たちが戦争を生き延びることと子供を産み育てることがパラレルに描かれる。歴史とは生み育てる女たちのつながりである。まさに女性映画。
戦後の人込みを表現する大勢のふらふら動いている人々と坂のある街、広場、飲食店などのセットがすばらしい。そして、結ばれない仲代達也と高峰秀子。高峰秀子主演の映画を通して戦争を考えてきた当時の観客は、仲代達也がでてくるだけで「決して結ばれない二人」と直感したのではないか。そのくらいこの二人は結ばれない。

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3.0夫の浮気

2021年9月22日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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kossy
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