善き人のためのソナタ

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劇場公開日:

解説

秘密警察による反体制派への監視が行われていた冷戦時代の旧・東ドイツ。秘密警察局員のビースラーは、ある日“反体制派”と目される劇作家ドライマンを監視するように命じられる。ドライマンの家に盗聴器を仕掛けたビースラーだったが、彼の部屋から聞こえてきたピアノ曲「善き人のためのソナタ」に心を奪われてしまう……。監督は、本作でデビューを飾った33歳のフロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク。第79回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞した。

2006年製作/138分/ドイツ
原題:Das Leben der Anderen
配給:アルバトロス・フィルム
劇場公開日:2007年2月10日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第79回 アカデミー賞(2007年)

受賞

外国語映画賞  

第64回 ゴールデングローブ賞(2007年)

ノミネート

最優秀外国語映画賞  
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映画レビュー

3.0 国家保安局(シュタージ)が支配する1984年の東ベルリンを舞台に...

2024年2月27日
PCから投稿

 国家保安局(シュタージ)が支配する1984年の東ベルリンを舞台に、盗聴任務に従事する1人の局員の心の揺らぎを通して東ドイツの徹底された監視社会の実情と問題を静かに描いたヒューマン映画。

 世間的には非常に評価が高い作品ではある。が、本当にヴィースラー大尉は『善き人』化したのだろうか?

 大学の教壇に立ち学生に講義を行い、冷徹に学生の選別を行っているシーンがある。価値観が固定化しているであろう年齢の男性が、全てのキャリアを投げ捨ててまで短期間で善人化することが果たしてできるのだろうか。違和感を感じる。

 大尉はもともと女優の熱烈なファンという描写もあるが、女優が盗聴対象となったので、女優の生活を守るためにシュタージの掟を破らざるを得ず、結果、女優の恋人であるドライマンを保護することになっただけ、という解釈も不可能ではない。

 もともとヴィースラー大尉は『善き人』であり、その要素を隠しながら嫌々にシュタージの仕事をしているという描写があれば、解釈も変わるのだが・・・。

 なお、国家保安局(通称:シュタージ)はドイツ語の Ministerium für Staatssicherheit の略称から由来している。ドイツ民主共和国(東ドイツ)の秘密警察・諜報機関を統括する省庁で1947年のK-5(秘密警察組織・第5委員部)を前身として始まり、1989年ベルリンの壁崩壊の1990年に解体されるまで続いた。ゲシュタポ(ナチス・ドイツ期の秘密警察部門:Geheime Staatspolizei)の手法を踏襲した徹底的な相互監視網を敷いて国民生活の抑圧を行った。組織解体時には9-10万人の正規職員を抱えていたとの記載がある。

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疲れたおじさん

3.0見た。

2023年12月31日
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プライア

4.0対照的なふたり

2023年8月27日
Androidアプリから投稿

信念を持って党員として任務を粛々ととこなすヴィースラーと人情味溢れる芸術家ドライマン。
利己的でお互い心を許せないシュタージの面々、一方芸術家としての矜恃に苦しみながらも結束するドライマンの友人達、権力者との密会を蹴ってドライマンの元に戻るクリスタと次の予約客の元へと足早く去る娼婦、2人の子供との接し方、部屋の内装…と対照的な描写が続く…こういう魅せ方大好き!
ヴィースラーがドライマンから産み出される愛と芸術によって、監視マシンから悪人になり切れない人間へと変化する様が静かに伝わってくる。

ラスト、誇らしげなヴィースラーの眼差しに胸が熱くなりました。
芸術に対するリスペクトに溢れた作品!

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やまさ

4.5演技は目で

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

知的

おさえた動き、セリフも少なく。
だのに画面からあふれ出てくるこの感情はなんなんだ。

まん丸の目が何よりも語っている。
ラストの誇らしげな眼!目です!
あの眼は一生忘れられないかもしれない。

公安の彼をかりたてたのが
たった一度だけ聴いた一曲というのも
あまりにも印象的だ。
芸術の持つ力ってそういう底知れないものがある。

この映画の二人の男のように、
直接話すことはなくても
語れるなにかがこの世界にはあるのだと
うれしく感じた。

しかし、公安の情報は本当に公表しているの?
身の安全は保障されているのだろうか…?

リアルタイムで東西ドイツの壁が壊れたニュースを見た。
その当時も衝撃だったが
この映画で登場した際には鳥肌がたった。
日本ではたしか平成元年、昭和天皇が亡くなった翌年のこと。

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こまめぞう
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