スタンドアップ

劇場公開日:

解説

「モンスター」のオスカー女優シャーリーズ・セロン主演で、全米初のセクシャル・ハラスメント訴訟勝訴の実話を映画化。シングルマザーのジョージーは故郷に戻り炭鉱で働き始めるが、男性達の露骨な嫌がらせに直面する。監督は「クジラの島の少女」のニキ・カーロ。撮影は「マイケル・コリンズ」「プレッジ」のクリス・メンジス。脚本はリーリー・ソビエスキーとジョシュ・ハートネットの「愛ここにありて」のマイケル・サイツマン。

2005年製作/124分/アメリカ
原題:North Country
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:2006年1月14日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第63回 ゴールデングローブ賞(2006年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) シャーリーズ・セロン
最優秀助演女優賞 フランシス・マクドーマンド
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映画評論

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(C) 2005 Warner Bros. Entertainment Inc.

映画レビュー

4.0職業人としての女性のたたかい

2022年12月25日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

2011/5/7 08:33
評価: 80点

確かに、男性中心の荒っぽい職場では、女性が労働者として進出することに歓迎しない空気があるかもしれませんね。
角界でも、女性を土俵に上がらせないという仕来りがあり、賜杯の授与のために大阪府の太田知事(当時)が土俵に上がることに異を唱えた相撲協会の対応の是非が問題となりました。
また、トンネル工事の現場などでも、長らく女性が立ち入ることは禁忌とされてきたと思います。

それは、別に女性を忌み嫌うということではなくて。
男性には「すけべ心」がありますからね。多かれ少なかれ。
紅一点で、男性労働者が中心の職場の中に女性労働者がいれば…。
職場の緊張が弛緩してしまうというのは、ある意味で真実だろうと思います。
ちょっとおどけて女性労働者の関心を惹こうとする男性労働者が必ず現れて。
土俵の上にしろ、トンネルの工事現場にしろ、そして、この作品の舞台となる鉱山労働の現場でも…「怪我がつきもの」の危険な職場ですからね。
その職場の緊張が弛緩することは、労働安全上、少なからぬ問題があったのでしょう。
科学的な根拠のない、古い因習だけが理由というわけではなかったと思います。

もっとも、この作品の場合には、あまり「正当化」もできませんけど。
不況で仕事が減っていることの「はけぐち」を、男たちは彼女たちに押し付けていたような気配もありますから。
そういう意味では、他のレビュアーさまが適切に指摘をしているとおり、かえって男性労働者連中の「弱さ」が、その横暴な態度から、透けて見えているのかもしれません。

それだけに。
高給に引かれて、そういう職場に入ろうとした以上、さぞかし大きかったことでしょう。
ジョージーに対する職場の拒否反応というものは。
会社は、性別による差別を禁止する連邦最高裁の判例の手前、彼女たちの入社を拒むことができなかったのでしょうけれど。

そんな中で、苦労をしながら、女性労働者としての立場を確立してきたジョージーたちの苦労と努力には、敬服すべきものがあります。
ひとりの人間、ひとりの労働者、否、一人の女性としての存在を懸けて。

それがある故に、ジョージーに賛同して原告団に加わるべく、傍聴席から起立する仲間が次々と現れるシーンは、胸に痛いものがあります。

観終わって、気持ちの晴れる、素晴らしい作品だったと思います。

なお、蛇足を加えれば。
苦渋の決断でジョージーの弁護を引き受けたビル(ウディ・ハレルソン)の役柄は素敵でしたね。
法律的な知識には必ずしも明るくないジョージーのために、堂々と法廷での論陣を張る。
在野の法曹として、そんな仕事をすることができれば。
その意味で、彼の役どころも、強く印象に残りました。

自身が法律屋である評論子は、その印象を大切にしたいと思った作品でもありました。

(追記)
実話に基づく作品ということで。
原題は「north country」となっています。
「(小さな)北の町から」といったところでしょうか。
あるいは邦題よりも原題のほうがよかったか。
「小さな北の町から起きた、大きな女性の社会進出のうねり」という意味では。

しかし、最後の法廷の場面だけでなく、差別に負けないで立ち上がったジョージーなど、いろいろな意味で「スタンドアップ」というのは、むしろ、この作品にはフィットしているのかもしれません。

(追々記)
「女性が職業をもつこと」、「女性の社会進出」ということでは、たまたま、2本の作品を続けて観ることになりました。本作品と『隠された日記 母たち、娘たち』が、それです。
どちらも感慨深い作品であったことは、映画ファンとして、しあわせだったと思います。

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talkie

3.5セロンさんはすごい

2022年10月20日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

彼女はどんな役でもこなせるすごい女優さんですね。
脇を固める方々も有名どころばかりで
良い作品だと思います。
実話ベースなんですね。
当時の女性は大変だったんですね。

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けはえ

4.0先陣を切る難しさ

2021年8月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

アメリカで初めてセクハラ裁判に勝利した主人公を描く物語。

すこし「エリン・ブロコビッチ」に似ている映画ですね。
シングルマザーの彼女達。厳しい境遇にめげず、そのバイタリティで逞しく生きていきます。

法廷闘争がメインだった「エリン~」と比較して、本作は「人間ドラマ」がメインの印象。
凄まじい鉱山でのハラスメント描写。それに打ちひしがれる主人公。プライド高き鉱山労働者の父親との確執。母親への中傷で傷つく息子とのすれ違い。
そして同じ被害者でもある女性達から得られない共感。
四面楚歌のような主人公の状況が、重く圧し掛かります。
それだけに、裁判からクライマックスへの展開はカタルシスを感じるものでした。

ただ、法廷劇としては、やや弱さを感じます。
説明が端折られていいたり、大袈裟過ぎたり・・・少し勿体なく感じ、評価をやや下げました。

新しい権利を獲得することの難しさ、古い固定観念を覆ることの難しさを感じさせる良い映画だったと思います。

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よし

3.5人権を守るためには戦うことが必要なの、だ‼️

2021年5月31日
PCから投稿

D V、ハラスメント、いじめ、昔も酷いが、今もあるし、今後も無くならない。
カスみたいなやつはどこにでもいる。
男も女も関係ない。
弱い者は、被害を最小限にするため、逃げる、戦う、それが全て、我慢してたら地獄行き、だ。
自分もD Vで殺されかけたが、逃げて、裁判で勝つ、ちなみに私は男。
戦うには、勇気がいるし、偏見もある、でも、必ず味方は現れる。
どんなに不遇でも、幸福になる義務がある、権利じゃない。
この映画がそれを示している。
製作者とセロンを評価する。
地味だが真摯な姿勢で作られた映画には好感が持てる、
真面目な方は、是非。

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アサシン5
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