誰も知らないのレビュー・感想・評価
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子どもたちのパラダイスと過酷な現実
世間的には悲惨な事件として認識された巣鴨の子ども置き去り事件。実際にそれは悲惨なものであるのだが、そのレッテルが覆い隠したものにこそ是枝監督は焦点を当てる。
子どもを置き去りにする母親の無責任さを断罪すべきという声が、欧米の観客からもあったという。子どもの人権を考えれば断罪すべきかもしれないが、監督にとって映画は誰かを裁くためのものではない。ここで描かれるのは、子どもたちの幸せだった時間。人間の生活は新聞記事ほどシンプルに切り取れるものではない。残酷な事件だが、されだけで彼らの人生は残酷なものばかりだったわけでもない。
断罪にこだわれば別の真実を見落とすだろう。努めて観察的な監督の視点は社会を見つめる上で重要だ。怒りも忘れてはならないのだが、多面的な視点はもっと重要だ。それが残酷な現実であればなおさらそうだろう。是枝監督の視線のあり方は本当に誠実で貴重なものだと思う。
やっと観た。
評価が高いのは知っていたので、以前から観ようと思っていたけど今回やっと視聴。ストーリーと実話に基づくという事も知らなくて、衝撃を受けた。
子供の頃の柳楽くんの演技、初めて観た。コレは賞も受賞するな。心に訴えかけてくるものがすごかった。
観ている間中、ずっと胸が痛かった。
健気で素直で、明るい子供達。親は子供を選べないかもしれないけど、子供も親を選んで産まれられない。ダメな親でも親。母親の帰りを今か今かと心待ちにしている。自分を犠牲にしている母親を、家に監禁された状態で。なのに、母親は全く顧みず一向に帰ってこない。
そんな中でも、子供達なりに仲良く生きていて、お兄ちゃんの責任感と子供の純真無垢な輝きに胸が打たれた。
育てる責任を全う出来ない親は、子供を産まないで欲しいと切に願う。
すごい作品。実際の事件がベースだということと、ドキュメンタリーっぽ...
すごい作品。実際の事件がベースだということと、ドキュメンタリーっぽい演出で、そこにある現実が痛々しい。ドラッグストアでの万引きからアポロ、羽田への旅は泣いた。
隠れて暮らすメリットとデメリット
是枝裕和監督作品『万引き家族』も好き。
YOUさん演じるお母さんは可愛らしい人だけど、実際何を考えているのか彼女視点で生い立ちから全てを観てみたい。
誰でも隣の芝生は青く見えるし、ないものを欲しがる。思い通りにいかないこともあれば、楽しいこともある。
隠れて暮らすメリットとデメリットを考えさせられた。
役者柳楽優弥の誕生。
劇場公開時鑑賞。
登場場面は少ないが、YOUがいい仕事してる。
柳楽くんが立派に成長してすごい役者さんになっているのを観るたびに、その誕生の瞬間に立ち会ったんだなあと、もはや親戚のつもりになってしまう。
こんなの特殊な話でしょ、と言いきれない方向にどんどん向かっているのがやりきれない。
酷い母親
若き日の柳楽優弥が可愛い。子役からやっていたんだって今知った。ゆう扮する母親は子供を捨てて男のとこへ。
ダメな母親。最低。4人兄弟の妹がなくなりトランクケースで埋められる始末。悲しき貧乏で子供だけの生活の過酷さが物語ってる。ドキュメンタリー映画みたいだった。
夢中で最後までみてしまった。
リアル
一番印象に残ったのは警察に行くことを勧められた明が、4人でいたいから行きたくないと言ったところだ。映画を観る中で私は、早く正しい大人に保護されてほしいと思ってばかりだった。でも明たちの幸せはそれじゃないんだなぁ。少なくともその時望んでいたことではなかった。ゆきが死んでも抜け殻みたいになっても、母が残したあの部屋で生活する選択をしていく明たちがすごくリアルだった。私はぬるま湯に浸かっていてばかりだなぁと実感。もしかしたら同じ教室にいるあの子が虐待されてるかも、近所のあの人が、そう思ってしまう。逆に同じ教室にいるあの子が虐待してしまうかもしれないし、自分がそうなるかもしれない。他人事ではいられない。この危機緩和このままの体温で生きていくことが私にできることなんだと思う。もし同じようなことに直面した時私は何をするんだろう、何をしてしまうんだろう。定期的に見るべきだし、私と同世代のこれから結婚をして子供を産む人たちに見てほしい。
最近はチンピラ役が多いような気がする柳楽優弥が、こんな純真な姿を見...
最近はチンピラ役が多いような気がする柳楽優弥が、こんな純真な姿を見せていたとは新鮮。
一見優しそうで良い母親とも思えるYOUだが、実は男にだらしなく、かなり無責任。
子どもたちを学校にも行かせず、長男以外は外出も許さないというクズっぷり。
その中で長男として懸命に弟や妹を支える姿には胸を打たれる。
本当は行政を頼った方がいいのだが、それでは兄妹が離れ離れになってしまう。
最後まで希望のない展開は残念。
じゃあ
どうすればいいのか。。みんなで一緒に暮らすためには、、、「誰も知らない」のか、、環境が過酷な程、知恵はつくのか、、万引きする子は、進学していく。明には、思いやりや責任感がある、向上心もある、これはやむを得ず背負わされた結果なのか、、ときおり輝く子どもらしさ、子どもが、特に長男の明は、子どもでいられない、くたびれていくシャツ、伸びていく髪、アジアの他国を連想する、、お金をあげ、食べ物を渡せばいいのか、、全責任は母親だけにあると、いえるのか、、ずっと問いかけられ続けた。ショッキングな映像よりも、子どもの瑞々しさを印象的に映す作風からは、重たさ、だけではないものが伝わってくる。
子供としてみると
主人公とあまり大差のない年視点で見ると、
大分辛かったです。
母親が子供のこと大切ではあるけど邪魔だって思ってるのも兄妹の1番上だからこその辛さも、母親に縋ろうとするのも本当は味方してくれるはずの周りの大人も皆隠してるけど自分たち子供を邪魔者扱いしてるのもそれを長男長女がうっすら感じてるのも全部じわじわ伝わってきました。
思春期に入るとなんとなくわかってくることが表現されてて
ネグレクトとか虐待だけでは無く、思春期ならではの辛さ、心情の動き、全てにおいて本当に辛かったです。
それでも嫌いになれない、心の中では捨てきれないのが母親で、母親には自分勝手に動かれてるけどこの歳じゃそのことを否定するなんて相当大人びていない限りできないのを改めて感じて、辛いのも有りましたが共感しながら見ることでより面白い作品なんじゃないかなあって思いました。
現実だから
実話を元に作られているからこの映画を見て、ニュースを見る目が変わった。虐待のニュースが絶えないが、この親もまた虐待されて育ったケースも多いだろう。虐待や貧困をどこかで断ち切らなければならないのだが、こういう家庭に限って多産だったりする。全ては教育が大事だと思う。
子供たちだけの生活
親のいない、子供たちだけの生活。子供の時に一度は夢見る自由な生活かもしれないが、外に出てはいけない大声を出してはいけないという制約の中ではどれほどの自由があったろうか。
洗濯や料理など兄や姉が担っている点は、大人になった私よりも自立した生活をしているだろう。
Youの演じるチャーミングな母親は友達や姉ちゃんとして関わるなら楽しそうと思わせるハッピーなやり取りだった。無責任で勝手な様子を柳楽優弥にお前だってそうだろと言うところ、全く持って間違っているところもなんだか愛おしく感じさせられた。
なぜ子供を隠すのか、なぜ子供を放って出ていってしまうのかがよく分からなかったけど、これを理解できれば私が認識できていない人たちのことがわかるのかな。こういう人たちがいたという事実を知って、この人たちを分かろうとした方が良いのかな。ただ同じ世界で生きているということを認識しながら自分のことをただやっていく、助けを求められればできる限りのことはやっていく傍観者でいいのだろうか。
柳楽優弥の万引きはしないところ、援交で稼いだお金を受け取らないところ、えらいなあと思った。死体遺棄だって悪いこととしてやっているわけではない。何が良くて何が悪いのかの線引きが法律ではなくて、自分の信念から作り出されたようなところが小6なのに素晴らしいと思った。
なるべく社会から見えないように関わらない生きているわけだけど、廃棄をくれるコンビニの兄ちゃん、野球に混ぜてくれた監督、いじめられていた高校生、少しの人とのちょっとした繋がりがあって、少しの優しさがたくましい生活に貢献していた。これからも兄弟仲良く暮らしていきたいという願いが、もう長く続かないだろうともどかしくなった。
今、映画だけを見ても真意は掴みにくいかもしれない
「怪物」「ベイビー・ブローカー」「万引き家族」が注目を集めた是枝監督の、2004年の作品。
最近になって配信で見た人は「なんだこれは」という印象を受けるかもしれない。
私は公開当時に劇場で見て(詳しい日付は忘れたので、このレビューの鑑賞日は適当な日付)、その前と後を知っているので、少しは今見ている人たちにも情報を共有できると思う。
知ってほしいのは、社会的に大きな話題となった事件を「ヒットする題材」ととらえて映画を撮ったのではなくて、是枝監督としてはあの事件の当事者となった子供たちに「君たちはそれでも存在して良いのだよ」と伝えたくて撮ったということ。これは監督自身がのちにコメントしている。
映画の前に事件が存在していて、それを映画に再構成したのだが、その目的は興行成績でも観客動員でもなく、あの事件の子供たちに「是」を伝えることだった。
だから、映画の視点は事件をとりまく社会や正義ではなく、子供と生活環境に向けられていた。子供たちに、君たちはこんな環境でも精一杯生きた、よくやったと言っている。
(この視点はのちの作品で子供から親子、家族というテーマに変遷し、最新作「怪物」ではまた子供に戻る)
エンディングで流れるタテタカコの曲「宝石」も、非常に印象に残る。
「誰もよせつけられない 異臭を放った宝石」が指し示すものは、主人公の少年の将来。
それも含めて、この映画では少年を、少年の過去と今と将来を肯定している。
これらの情報は映画単体では掴みにくいかもしれない。
当時の空気、そして是枝監督のコメントまで含めて、やっと真意がわかる。
作品としてそのようなスタンス(副次情報が無いと真意がわからない)が良いとは思わないが、もう世に出てしまった作品。
せめて、予習あるいは復習して、この作品の真意を読み取ってほしい。
タイトルなし
序盤の会話から飛行機は見に行くんだろうなと予想していたが、あんな形で見に行く事に成るとは思ってもいなかった。
なかなか胸糞悪い結末を迎える作品だったが、鑑賞後に元ネタとなった事件を調べてみると映画以上に胸糞悪く、映画が少しマイルドな方向に調整されている事が分かった。現実がどうだったのかは判らないが、育児放棄している母親が子供達の事を全く愛していない訳では無さそうだったのも意外。
本当はコンビニ店員や大家が異変を感じた時点で動くべきなんだろうが、そううまく行かないのもよく分かる。他所の家の事だからイザとなった時に動けばいいと、既にイザという時を迎えているにも関わらず先延ばしにしてしまう人が大半なのではないかと思う。
柳楽優弥さんが演技で賞を取っていたが、他の役者も負けず劣らずの素晴らしい演技、というかアドリブじゃないと出せない子供達の表情を作り出していたYOUさんの演技が見事だった。
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