麦の穂をゆらす風

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劇場公開日:

麦の穂をゆらす風

解説

「大地と自由」「ケス」などで知られる社会派ケン・ローチ監督が1920年代のアイルランド紛争を描いた悲劇。英国による長年の支配から独立を求める声が出始めた1920年アイルランド。医者を志すデミアンと兄テディは武器を手に取り独立戦争に出征する。やがて勝利を収め、講和条約を締結させたアイルランド軍だったが、その条約の内容を巡って、今度は国内で争いが起こる……。06年度カンヌ映画祭パルムドール受賞作品。

2006年製作/126分/アイルランド・イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン合作
原題:The Wind That Shakes The Barley
配給:シネカノン
劇場公開日:2006年11月18日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第59回 カンヌ国際映画祭(2006年)

受賞

コンペティション部門
パルムドール ケン・ローチ

出品

コンペティション部門
出品作品 ケン・ローチ
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映画レビュー

3.0見た。

2023年12月31日
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プライア

3.0のどかで美しい風景とのコントラスト

2023年3月1日
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鑑賞方法:DVD/BD

史実の悲惨さを「淡々と」描いていたという印象で、ケン・ローチらしい作風なのではないかと感じた。

兄弟を分断させた思想の違いもそれほど浮き彫りになることもなければ、明確な反戦メッセージとも捉えられず、どちらかというと主人公であるデミアンの心情にフォーカスがあたっているようで、その描き方には一定共感できた。

また、のどかで美しい風景と、仲間を殺さざるを得ないシチュエーションだったり英軍の傍若無人だったりとのコントラストも、なんとも言えない味わいを残していた。

ただ、それぞれのシーンは見応えがあって記憶に焼きつく威力を持っているのに、何故か全てのシーンの切れ目において続きを見たいと思わせる魅力に欠けていて、自分としてはケン・ローチの最近作である「ダニエル・ブレイク」や「家族を想うとき」のような、自然とのめり込める感じに欠けた。

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wutang

5.0愛国心を強要されたら

2021年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 なんだか今(当時)の日本に照らし合わせてしまいました。この映画でのアイルランド独立運動は彼らの愛国心そのもの。結局は分裂してしまう義勇軍でしたけど、英国からの抑圧支配から逃れるという心は一つ。理不尽にも殺された仲間を見たら、黙ってはいられなくなりそうです。だけど、途中からその激しい感情もデミアン(キリアン・マーフィ)の冷静な交渉のおかげで納まりました。武器がなくても・・・

 過去のアイルランド史を学ぶのにも参考になる映画でしたが、それよりも現代の世界情勢をも見つめなおすいい契機となりました。支配者と被支配者、帝国主義国家と植民地、どこを見ても似たような関係があるものです。民族自決権は奥が深いものがあるので、ここでは敢えて論じませんが(というより、よくわかってない)、第三者の介入だけは納得できません。独立を勝ち得たとしても、独立戦争時に植え付けられた暴力性がそのまま残ってしまうのも彼ら自身のせいではないように思えるくらいです。最初は戦いたくなかったデミアンだって、周囲の暴力を目撃しなかったら武器をとることもなかったはずですから・・・

 映画の中では生爪をはがすという拷問シーンがとても痛々しくて、強烈な印象を残したし、シネード(オーラ・フィッツジェラルド)の家が焼かれるシーンに胸が苦しくなりました。それに屋根が燃えてなくなったのに、そこに住み続けようと頑張るおばあちゃん。祖国に住むことを主張する縮図ともなっていましたけど、支配者はなぜもこう弱い人たちをいじめるんでしょう。こんな光景を見せられたら暴れたくなっちゃいますよ。

 終始ドキュメンタリーのような撮影のおかげで感情移入しまくり。ジープ2台でやってきた英国兵士に攻撃を仕掛けるシーンでは、自分もあの場で銃を構えているかのような気分になりました。しかし、あの一連の状況下にあったら自分は真っ先に殺されるだろうにと、反省もしまくり。歴史、政治、法律と、正確な知識さえあれば渡り合える。暴力だけの報復の連鎖をどこかで断ち切ることができると信じて・・・

【2006年12月映画館にて】
2006年マイベスト

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kossy

4.0妥協のない男の生き方

2020年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

1920年のアイルランド独立戦争とその締結条約の是非で二分したアイルランド内戦を描いた作品。ケン・ローチ監督の冷静で真摯な視点が、激動の中の人間を飾り気なく感情移入することなく捉えて、歴史のリアリズム表現に挑戦した。この題材にして、例えばデーヴィッド・リーン監督の「ライアンの娘」のような感情の振幅をドラマチックに描く旧来の演出ではなく、あくまで淡々とした視線を貫徹するところに、ローチ監督の作家精神がある。戦争、内戦、兄弟の対立と、終わりが見えない時代の痛ましい秘話が胸に突き刺さる。「バットマン」で注目したキリアン・マーフィーの演技が素晴らしい。日本題名と麦畑で振り向くスチールカットが印象的。

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Gustav
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