セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ : 映画評論・批評

2001年4月16日更新

2022年1月1日よりK's cinemaにてロードショー

“優美な変態”ウォーターズの映画愛がここに結実!

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「ハリウッドをぶっ飛ばせ!」と究極のゲリラ映画作家セシル・B・ディメンテッドは叫ぶ。この叫びに共感できるか、共感できなくとも理解はできるか、それともまったく理解も同意もできないかで、この映画に対する評価はわかれるだろう。いわば観客の思想を試す映画なのだ。「タイタニック」や「フォレスト・ガンプ」がお好きな人にはお勧めできない。そもそも、そんな人にはいったい何が問題なのかすら理解できないだろうが。

セシルBは戦う映画作家である。彼が戦っていることには疑いの余地はない。セシルは映画テロリストだ。撮影現場やパーティに乱入して銃をぷっぱなし、女優を誘拐して洗脳する。彼はなんのために戦っているのだろう? セシルは「ハリウッドのシステムと戦っているのだ!」と言うだろう。だが、実際のところ、セシルのテロ活動がハリウッドを揺るがせているとはとても思えない。だから当然ながら、セシルは無惨な敗北を喫する。それを馬鹿馬鹿しいと笑わば笑え。負けるとわかっていようと、戦わなければならないときはある。戦え、セシルのように。「セシル・B ザ・シネマ・ウォーズ」はぼくらに決起をうながすアジビラなのである。

柳下毅一郎

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