ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 : 映画評論・批評

2004年6月15日更新

2004年6月26日より丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系にてロードショー

子役だけでなく“映画”もヤング・アダルトに成長

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映画版「ハリポタ」シリーズも、3作目に突入。起承転結でいえば「転」にあたり(実際は7部作だけど)、いろんな面でこれまでのクリス・コロンバス監督作品のテイストとはガラリと変わっている。

そのさまざまな変化を簡潔にいえば“ダーク”になったということで、その理由が原作にあるかどうかは、第1作の「賢者の石」を読んだきり、あとはご遠慮申し上げている僕には分からない。ファンタジー小説の定石を破綻なくまとめているものの、自己中心的、作者のエゴむきだしの願望充足の幼稚さに愛想を尽かしたわけで、前2作の映画版も、ゲーム的な映像で目を楽しませてくれても、そのあたりの事情は変わらず、“心ない”ファンタジーという印象しか残らなかった。

ところが、この3作目は、ハリーたち主人公3人組の容姿が大人びてきたのと同様、ストーリーも幼さが抜け、ヤング・アダルトになっている。また、キュアロン監督のメキシコ産マジック・リアリズムの荒涼とした映像も素晴らしく、吸魂鬼ディメンターなんて、子供が悪夢を見そうなくらい出来がいいし、タイム・パラドックスの見せ方もうまい。次作を期待させるに十分な佳作。

高橋良平

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